♯ヒコさん心の一曲−つぃんだら節(八重山民謡)
♪とぅばれまとぅ 我んとぅやよ <とぅばれまとぅ バんとぅやよ>
スーリ
童からぬ 遊び友達 <ヤラビからぬ アスびトーチ>
ハーリヌ
つぃんだら つぃんだら
◎あなたと わたしは
スーリ
子供の時からの 遊び友達だった
ハーリヌ
つぃんだら つぃんだら
・「野底マーペー」は、恋人のいる島を眺めようと山の頂に登りました。
目のさめるような蒼い海のなか、恋人のいる黒島が遠くに見えます。
黒島での楽しかった日々を思い、恋人の名前を呼び続けるマーペー。
マーペーの悲しみにうずくまる姿は、やがて山の頂の岩となりました。
・琉球王朝時代の1732年、黒島の「島分け」が、行われました。
黒島から男女約400人が、石垣島に移され、野底の村を作りました。
目的は、黒島の人口調整と石垣島入植による税収増を見込んででしたが、
未開地への入植は厳しい上に、野底はマラリア蚊の多い土地でした。
♪うば一人 退きなりよ <うばタンガ ドゥきなりよ>
野底に 分ぎらり <ヌスクに バぎらり>
◎わたし一人で 苦しい
黒島に 残され
♪我ん一人 苦しゃよ <バんタンガ クリしゃよ>
黒島に 残され <クルスィマに ヌクされ>
◎わたし一人で 苦しい
黒島に 残され
・ある日、琉球王朝の役人がやってきて、村の真ん中に線を引きます。
線の片側は、「石垣入植組」で、反対側は、「黒島居残り組」です。
親類・縁者、まして恋人同士などの配慮は、いっさいありません。
役人の引いた線一本で、黒島の人々の運命が定められたのです。
・「♪つぃんだら」とは、可愛いという意味で、ハヤシに使われています。
親兄弟の無情の別れ、引き裂かれる恋人達と「♪つぃんだら」のハヤシ。
仏教でいう「愛苦別離」、それも生きたままでの辛い辛い別れです。
『つぃんだら節』は、「島分け」に泣いたマーペーの涙の結晶です。
(1112-2009/12/5記)
*民謡の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。