♯ヒコさん心の一曲−山原(ヤマバレ)ユンタ(八重山民謡)
♪山原ぬ 底ぬ家ぬ <ヤマバレぬ シクぬヤーぬ>
ヌズリャーマ
ヒヤササ ヤラドーハーイ ヨーホイナ (*ハヤシです)
◎山原の 底の家の ヌズリャーマは
ヒヤササ ヤラドーハーイ ヨーホイナ
♪あふぁり子ぬ とぅんぎゃーまぬ <あふぁりファぬ とぅんぎゃーまぬ>
生れうん <マれうん>
◎美しい子で とびぬけた
生まれだった
・山原(ヤマバレ)村に生まれた「ヌズリャーマ」は、とても美しい娘に成長しました。
年頃になった娘を、村の若者が「若衆宿(わかしゅうやど)」に誘います。
「若衆宿」は、結婚前の十代の男女が集まって夜なべ仕事をするという建前ですが、
実際は、野や浜に出て歌い踊るという「青春の謳歌」も多かった様です。
・しかし、「ヌズリャーマ」の親は、娘が「若衆宿」へ行く事を固く禁じました。
そこで、村の若者は大勢で押しかけ、大きな石で戸口をふさぐなどイタズラをします。
毎日続くイタズラに、親は根負けする形で、娘が「若衆宿」へ行く事を許すのでした。
『山原ユンタ』は、村の若者が「ヌズリャーマ」を誘う様を面白おかしく歌った民謡です。
♪走りきざーぎどぅ ゆぬ下れし <ハりきざーぎどぅ ゆぬウれし>
遊びうる <アサびうる>
◎走り蟹でさえ 同じように下って
遊んでいる
♪我がけーら 浜下りし <バがけーら ハマウりし>
遊ぼうら <アサぼうら>
◎わたしたちも 浜に下りて
遊ぼうよ
・私がこの曲を知ったのは、琉球大学音楽科教授の城間繁先生が指導されていた
沖縄プロムジカ合唱団のレコード「おきなわの旋律(うた)」が、最初でした。
男女の斉唱から入り、男性のソロを挟み、壮大な合唱となる『山原ユンタ』。
沖縄の民謡を、混声四部合唱で芸術の域まで高めたのは城間先生の才能でした。
・「若衆宿」や沖縄の盆踊り「エイサー」は、地域が公認した若者の活動でした。
十代で結婚する事が普通だった昔、「若衆宿」はめぐり合いの場所でもありました。
「若衆宿」の夜なべ仕事や「エイサー」の練習を通して、男女がお互いを知ってゆく。
これを週刊誌的にイヤラシイ目で見てしまうのは、私も含めて、現代人の発想かと思います。
(1114-2009/12/19記)
*民謡の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。