♯ヒコさん心の一曲−張水ぬクイチャ(ピャルミズぬクイチャ)(宮古民謡)
♪張水ぬ 船着ん <ピャルミズぬ フナツギん>
白浜ぬよ <スルンナグぬよ>
ヤイヤヌ ヨーイマーヌーユ
白浜ぬよ ニノヨイサッサイ <スルンナグぬよ ニノヨイサッサイ>
ササ ハイ ハイ ハイ
◎張水浜の 船着場の
白浜さえも
ヤイヤヌ ヨーイマーヌーユ
白浜さえも 皆ヨイサッサイ
ササ ハイ ハイ ハイ
♪粟んなり 米んなり <アワんなり クミんなり>
上り来ばよ <ヌブりクばよ>
◎粟になり 米になり
上ってくるだろう
・琉球王朝時代の離島の人頭税は、明治維新後も意図的に継続された重税でした。
約150cmの人頭税石と同じ背丈になったら、年齢に関係なく納税義務が課される。
耕地面積も狭い上、台風の度々の襲来、取立ての厳しさに島民は疲弊していました。
仕事で宮古島に来た新潟出身の中村十作は、島民の過酷な生活に衝撃を受けます。
・明治26年、中村が指導する形で人頭税制廃止運動が島中で起こり、その結果
中村と平良真牛ほか4人の農民代表が、帝国議会に陳情を行なう事となりました。
その陳情が実り、250年以上続いた人頭税は、明治36年に廃止されました。
陳情団が、朗報と共に張水の浜に着いた時に歌い踊られたのが『張水ぬクイチャ』です。
♪保良真牛 沖縄から <ブラマウス ウギナから>
上る 参ばよ <ヌブる ンミヤばよ>
◎保良の真牛が 沖縄へ
上ってきたら
♪ピラとぅらぬ 金うさだ <ピラとぅらぬ カニャうさだ>
ゆからでぃだらよ <ゆからでぃだらよ>
◎手鍬もとらないで 鍬も使わないで
よくなるだろう
・島民は「♪張水浜の白浜さえも 粟になり 米になり 上ってくるだろう」と
人頭税廃止の喜びを歌い、クイチャの踊りに体全体で、喜びを爆発させました。
クイチャの踊りは、パターンを繰り返しながら円陣を回る覚えやすい踊りです。
「♪ニノヨイサッサイ」の所では、自由に手踊りなどを入れ、盛り上がります。
・大学時代の宮古研修の研修項目の一つに「クイチャを踊ろう」がありました。
地元青年の熱心なクイチャ指導があり、10分程で基本的な動きは覚えられました。
すると「♪ニノヨイサッサイ」で、自由に踊る時が待ち遠しくなってきます。
「今度は飛ぼう!」「次は回ろう!」と、エスカレートの一途をたどった記憶があります。
(1119-2010/1/16記)
*民謡の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。