♯ヒコさん心の一曲−伊良部(イラブ)トーガニー(宮古民謡)


♪サーヨイ 
 伊良部トゥガマーン 間小んなヨー <イラブトゥガマーン パシガマんなヨー>
 離りゆとが ばしがまんなヨーイ  <パナりゆとが ばしがまんなヨーイ>      
 渡ず瀬ぬマーン          <パタずジぬマーン>
 休す瀬ぬ あてぃあなむぬヨー   <ユクすジぬ あてぃあなむぬヨー>

◎(意訳)サーヨイ 
 貴方の島から伊良部までの間は 
 とても遠いので       
 途中の小島で         
 船を休ませながら来てくださいね

・「沖縄の人は、情熱的な人が多いんでしょう」と、本土の友達に聞かれました。
 「情熱的?割とオープンで、陽気で明るい人は多いと思うけど‥‥」と私。
 沖縄の明るい太陽⇒南国の楽園⇒パラダイス?⇒みんな情熱的に恋をする?
 今から思えば「どうしてそう思うの?」と、聞き返しておくべきでした。

・情熱は情熱でも「内なる情熱」を感じさせるのが『伊良部トーガニー』です。
 『伊良部トーガニー』の舞台、伊良部島は、宮古本島から少し離れた離島です。
 伊良部島に待つ恋人の為に、今夜も船を漕いで会いに行くる男に、
 「途中の小島で、船を休ませながら来てくださいね」と歌いかける女。

♪サーヨイ 
 夕凪がまんな イラヨーかなしゃ <ユウドウリがまんな イラヨーかなしゃ>
 戸板がまや 音高りやヨーイ   <ヤドパスがまや ウトタカりやヨーイ>      
 ならんどぅゆーまん       <ならんどぅゆーまん>
 むしろ戸ゆ 下ぎ待ちゅりヨー  <むしろヤドウゆ サぎマちゅりヨー>

◎(意訳)サーヨイ 
 夕凪になったら イラヨー恋しい人よ
 板戸を開けると 音が鳴るのが       
 気がかりだから      
 スダレを下げて待っていておくれ

・夕凪に乗せて、伊良部島へと船を滑らせている男は、女にお願いをします。
 「板戸を開けると 音が鳴るので、スダレを下げて待っていておくれ」と、
 スダレの奥には「内なる情熱」を静かに燃やす女が一人、男を待ちます。
 まるで万葉集の「忍ぶ恋」のような風情に、震える程感動する私です。 

・『伊良部トーガニー』は、宮古民謡の歌手にもかなりの難曲だと聞いています。
 ゆったりとしたテンポのイントロに、低めの声で歌い出してゆきますが、
 感情の高まりを映したかの様に駆け上り、高い音を連続して要求します。
 体調や喉の具合が良くても、満足に歌い上げられるのは年に1回と言っていました。 

 (1121-2010/2/7記)

 *民謡の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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