♯ヒコさん心の一曲−染みなし節(すみなしぶし)(沖縄民謡)
♪思いざましざま思出する夜や 童声ゆたてて泣かんびけい(男)
・あなたと過ごしたあの夜を思い出す度に ただただ子供の
ような声をあげて泣いている私です(大意)
♪ぬがうんじょぬやがもの思み顔しちょる 思事のあらば語て忘しり(女)
・何でそんなに思いつめたような顔をしているの あんまりつらいなら
私に話しせば少しは心も晴れると思うけど(大意)
♪思いてしやれば心安々と いらなこがれゆみ闇のほたる(男女)
・君の心使いに心が休まる気がする でも自分の思いは、まるで
闇の中に光るほたるのように当分消えそうにないよ(大意)
・初めて『染みなし節(すみなしぶし)』を聞いたのは、知名定男の
アルバム「島うた」です。それまでは『染みなし節』という曲名
すら知りませんでした。アルバム「島うた」は、知名定男らしい
渋い選曲のアルバムですが、『染みなし節』の内容や歌詞にとらわ
れず、ベトベトせずサラッと歌いこなすところが知名定男流であり、
それが私には、男の色気にも聞こえてきます。
・三線教室に通い出して『染みなし節』が、優秀賞の課題曲になって
いる事を知りました。私が入った頃がちょうどコンクールの二ヶ月
前でした。二時間の練習のなかゆくい(中休み)にお茶とサーター
(砂糖)を食べながら、コンクール受験者が歌うのを聞きます。
『染みなし節』は、「歌の出だしが命」みたいな曲で、そこを注意
される人がとても多いのですが、中学や高校生の女の子にはその若さ
ゆえ難しい部分であるのかもしれないと思いました。
・知名定男も四番まで一人で歌っていますが、先生から元はデュエット
曲だったと聞いて、驚くとともに、納得する部分もありました。
それに「子供のような声をあげて泣く」のは男で、「語って忘れま
しょう」と慰めてくれるのは、恋人ではない女の人です。
「染みなし」の意味ですが、身も心も許しあった男女の仲をさすとの
事ですから、そこまでいってからフラレタ男の男泣きイヤ子供泣きと
それを慰める女の物語なのです。
・先生からそこまで話を聞いて、かなりイメージが先走りしてしまい
ました。歌詞の大意が、まるでスナックでの失恋男と店の女の子の
会話の様になってしまいました。どうもすいません。
ネーネーズの曲に「ウサガンナ」という曲があります。「ウサガンナ」
は、「飲みすぎないように」くらいの意味ですが、『染みなし節』の
私が書いた大意とよく似た内容の歌です。「女はあの娘だけでないん
だから、男らしくキッパリ忘れて立ち直って‥」と、慰めてくれる
スナックの女の子。しかし、男は子供のような声をあげて‥‥
(1141-2006/05/06記)
*敬称は略してあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。