♯ヒコさん心の一曲−世宝節(ゆたからぶし)(沖縄民謡)
♪真夜中どやしが 夢に起こされて 覚めて恋しさや あれが姿
・真夜中なのに あなたの夢を見て起きてしまいました
一人寝の夜 あなたの面影に恋しさがつのります(大意)
♪一人手枕に 明かす夜の辛さ 無蔵が手枕に 明かちみぶしゃ
・一人寝の夜は 心が凍るほど辛いです
あなたの手枕に 朝を迎えたいと思う私です(大意)
♪鳥やちょん飛ばぬ 島とめて無蔵と 浮世安々と 暮らしみぶしゃ
・鳥になって あなたのいるところへ飛んで行きたい
そして 二人で心安らかに暮らしてみたいと思う私です(大意)
・『世宝節(ゆたからぶし)』の作詞・作曲は普久原 朝喜(ふくはら
ちょうき)先生です。今まで私は、普久原 朝喜先生は、あの
「芭蕉布」を作曲した普久原 恒勇(つねお)先生の「お父さん」
だとばかり思っていました。上江州 由孝先生に教えていただいた
のですが、恒勇先生は、朝喜先生の弟の息子さんとのことでした。
普久原家は、バロック音楽の巨匠バッハ家のように音楽の才能が
引き継がれた家系なのだと思われます。
・東京出向時代に川崎の沖縄県人会で名渡山(などやま)謙一先生や
お弟子さんに三線の手ほどきを受けました。本当によくしていただ
いたのですが、仕事が忙しく、なかなか毎回通うことができません
でした。しかし、三線の弾き方、工工四(くんくんしー=沖縄三線
の楽譜)の読み方等を、教えていただき、工工四を見ながらですが、
「安里屋ユンタ」、「祝節」、「固み節」、「めでたい節」等歌
えるようになりました。ありがとうございました。
・名渡山謙一先生のお家へ伺った時に、練習のお手本として先生が
歌っているテープをいただきました。そのテープの中に入っていた
のが『世宝節』でした。曲の感じからすると女の人っぽいので、男
の私が歌う場合、少々とまどいもあります。そんな時、名渡山先生の
男らしく堂々とした歌い方が、私の良いお手本となっております。
・「浮世安々と 暮らしみぶしゃ」−「二人で心安らかに暮らして
みたい」。二人は、オープンになれない関係なのかもしれません。
真夜中に「あなたの夢を見て」起きて、「切ない夢」を思う。
夢の実現が難しいという現実が、夜をいっそう辛くさせる。
朝が近くなったのか、鳥の声が聞こえてきました。「鳥になって
あなたのいるところへ飛んで行きたい」。また「切ない夢」を重
ねてしまう。堂々めぐりして、心の朝は、なかなかやって来ません。
(1142-2006/05/13記)
*敬称は略してあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。