♯ヒコさん心の一曲−浦波節(うらなみぶし)(普久原朝喜)
♪浮世なだやすく 渡いぶしゃあらば 誠よい他の 道やふむな
・心おだやかにこの世を 生きたいならば
誠の道を歩く他はない(大意)
♪誠する人の 後や何時までも 思事も叶なて 千代の栄い
・誠実に生きた人は 後々まで語りつがれる
思う事も叶って 子孫も栄える(大意)
♪情よりほかに 頼むしやねらぬ つくづくと浮世 思て見れば
・情をもって生きていくことの大切さは
この世のあるゆることに通じる道である(大意)
・『浦波節(うらはぶし)』の作詞・作曲も普久原 朝喜(ふくはら
ちょうき)先生です。この曲は、「教訓歌」と言われますが、私
には、朝喜先生が、自らの人生から学びとった「人生訓」に思われ
てしかたがありません。「誠」、「情」というと、古い日本の美徳
の様に聞こえますが、今も昔も人間社会を正しく生きてゆく為に、
必要不可欠な至言だと私は思います。
・「正直者は馬鹿をみる」、「これくらいのことは誰でもやっている」、
「赤信号みんなで渡れば怖くない」、「楽して儲けたい」‥‥
この言葉を体現したような事件が発生すると、マスメディアを通して、
日本中に一斉に流れます。日本中が共通認識します。そして、「俺も」
と安直な「模倣犯」も出る始末です。朝喜先生の時代も、スピードの
差はあっても同じだったのだと思います。
・仏教では「人に生まれたことを喜べ!」と教えています。「豚や魚で
なく、人に生まれたことを喜べ!」というのです。しかし、人と生ま
れたからには「人間」の言葉の通り、人間社会の中でしか生きてゆけ
ない。それならばどの様に生きるか。朝喜先生は、「誠をもって生き
なさい、情けをもって生きなさい、それが自分の為、社会の為に一番
いいことなのだよ。」と、この歌に込められたのだと思います。
このメッセージは、歌うことによって更に心に沁みてきます。
・「生老病死」−仏教でいう人間が逃れられない四つの定めです。
「生」と「死」に「老病」がサンドイッチされています。
生⇒子供⇒青年⇒中年⇒老人⇒死。人間は、中年なら中年といわれる
年齢に達しないと理解や体感できないことがあります。「後戻り」など
人生にはありません。「変えられるのは自分と未来だけ、他人と過去
は変えられない」−極端な表現ですが、事実です。今、自分の立って
いる位置を確かめて、「これからどのように生きていくか?」。
そんな時『浦波節』は、襟を正させてくれる素晴らしい歌です。
(1144-2006/05/27記)
*敬称は略してあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。