♯ヒコさん心の一曲−十九の春(沖縄民謡)
♪「さー君は野中のいばらの花か サーユイユイ 暮れて帰ればやれほにひきとめる マタ
ハーリヌ チンダラカヌシャマヨ」。これは、沖縄民謡の代名詞ともなっている「安里屋ゆんた」
です。この曲の元歌は、八重山(石垣島地方)の竹富島で、安里屋のくやまにという美人とそ
れに目を付けた地方役人の話を歌っています。
♯この元歌を「沖縄民謡を内地の人にもわかりやすく紹介したい」という日本コロンビア(レコ
ード会社)の求めに応じて、作詞−星克,作曲−宮良長包が改作したものが上記であり、
「新安里屋ゆんた」と呼ばれる事もあります。この曲が流行り出したのは戦時中でした、その
理由の一つとして「マタハーリヌ チンダラカヌシャマヨ」(八重山方言で「ほんとにいとしい人よ」
くらいの意味のハヤシ言葉)を「またハーリヌ死んだら神様ヨ」と替歌にして歌った為だと言わ
れています。
♭「私があなたにほれたのは〜ちょうど十九の春でした。いまさら離縁というならばもとの
十九にしておくれ〜」。これは、田端義男さんの歌でも有名な沖縄民謡の「十九の春」です。
この曲の4番に「同じコザ市に住みながら‥‥」(コザ市は現在の沖縄市の事です。)という
部分があるので沖縄民謡と考えられていますが、調べて見ると原曲は、「よろん小唄」と書
かれているので元歌は、鹿児島県の南端の島の与論島生まれなのかもしれません。
♯上記の二曲は、沖縄民謡として扱われていますが、歌詞も標準語であり音階も琉球音階
ではありません。琉球音階は、ドレミファソラシドからレとラを抜いた音階で主に東南アジアの
一部と沖縄で使われている音階です。私もバリ島の民族音楽のガムランの中に琉球音階と
同じ音階の曲を聞いた事があります。
♭沖縄民謡がすべて琉球音階を使っているかというと3分の2か半分くらいではないかと私は
考えています。本土と同じ民謡音階等の曲もたくさんあるのが現状です。北から来た民謡音階
と南から来た琉球音階がチャンプルーされて(混ぜ合わさって)今の沖縄民謡を作っているのか
と考えております。
♯前回『沖縄の結婚披露宴の終わりは沖縄民謡の「カチャーシー」です。』と書きましたが、
「カチャーシー」とは、「カチャースン(かき混ぜる)」という言葉から来ていると言われており、
もじ通り、老若男女入り混じって両手を上げて喜びを体中で表す踊りです。阿波踊りをもっと
早くしたものと想像してもらうとわかりやすいかと考えます。
♭「カチャーシー」の定番といえば「唐船ドーイー」(トーシンドーイー)です。「唐船ドーイー」とは、
「唐の船が来たよ」の意味で一番では、港に集まる人々の事が歌われています。この曲のイン
トロを聞くと、沖縄人(ウチナンチュー)ならずとも自然と体が動き出してしまうほど軽快な曲です。
(1145-2002/2/11記)
*民謡の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。