♯ヒコさん心の一曲−梅の香り(新川 嘉徳)


♪春や 花盛い    <ハルや ハナジャカい>
 野ん山ん 咲ちゅい <ヌんヤマん サちゅい>
 いるいる花ぬ    <いるいるハナぬ>
 咲ちょる 美らさ  <サちょる チュらさ>

◎春や 花盛り
 野にも山にも 花が咲いている
 いろいろの花が
 咲いている 美しさよ

・サンシンで「中⇒六⇒合⇒工 中⇒六⇒合⇒工」と、イントロを弾くと
 「♪春や 花盛い」と歌が出てくる名曲、それが『梅の香り』です。
 この音型がこの曲の骨であり、強力なチャームポイントとなっています。
 私は、この洋楽っぽい音型に、タンゴなどの舞曲からの影響を感じます。

・『梅の香り』を作詞・作曲した新川 嘉徳は、西原町小那覇に生まれました。
 14歳でハワイに渡り、沖縄に戻ってからは、管弦楽での民謡演奏を行うなど
 多彩な音楽活動をしましたが、その結実として生まれたのが『梅の香り』でした。
 他の民謡にない見事な色合いは、新川がたどり着いた独自の音楽境地だと思われます。

♪朝夕 水かきてぃ <アサユ ミジかきてぃ>
 育てぃてる梅ぬ  <スダてぃてるウミぬ>
 花咲ちゅる節や  <ハナサちゅるシチや>
 いちがやゆら   <いちがやゆら>

◎朝夕 水をかけて
 育てている梅の
 花が咲く時は
 いつだろうか

・現在、新川の生まれた西原町小那覇には、『梅の香り』の歌碑が立っています。
 「梅の香り」うた遊び大会と称して、『梅の香り』によるのど自慢も行われています。
 私も、サンシン教室の「民謡歌碑めぐり」の勉強会で、この歌碑を見ましたが、
 立派な歌碑の隣には、梅が植えられ、まさしく梅の香る歌碑となっておりました。

・『梅の香り』の他に異色を放つ沖縄民謡として「二見情話(作詞・作曲 照屋 朝敏)」や、
 「チョンチョンきじむなー(作詞・作曲 照屋 政雄)」などがあります。
 二曲とも、西洋音楽でいう短調の響きを前面に押し出して、成功した曲です。
 新川は『梅の香り』を「アロハを着て沖縄民謡」の発想で産み落としたのかもしれませんね。
  
 (1148-2010/6/5記)

 *敬称は、略させていただきました。
 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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