☆ TRPGコンバーター

 冒険に出かける前に魔法の呪文の書を暗記しておき、冒険中には決して呪文の詳細の確認はできない。効果的に使用すれば非常に有効(なにしろラスボスも一撃だ!)な反面、触媒などの条件を満たしていなかったり、実際には存在しない呪文を唱えたときのペナルティは、状況によっては死を意味することもあるぐらいシビアな場合もある…。

『ソーサリー!』独自のシステムであり、またこのシリーズ最大の特徴である「魔法の呪文の書」。個人的に大変よく考えられたシステムだと思うし、大好きである。発明とさえ言えるだろう。特許すら取れそうだ。いや、既にどっかが取っているかもしれない。うむ、話が脱線してしまったようだ。
 ところである日、ふとこれをTRPGに持っていけないかな? と思いついた。以前はTRPG三昧の日々を送っていてゲームマスターをやる機会も多かった私であるが、これは試したことがなかった。そういえばなんで思いつかなかったんだろう?
『ソーサリー!』のように呪文名がアルファベット3文字である必要はない。呪文名よりも、詠唱内容や手指を使った印、それと描く魔法陣等にするのが面白そうだ。とりあえずルール全体を作るのは面倒なので、まずは「覚えている魔法しか使えない」という部分だけを既存のルールに放り込むのでいいだろう。

 プレーヤー側は膨大な記憶力と応用力が要求されるが、そのかわり苦労と引き換えに、初めから全ての呪文が使えることになる。もちろんゲームマスター側でも『ソーサリー!』がやっているように、手に入る触媒を操作することである程度コントロールできるので、シナリオのバランスを取ることは十分可能である。成長のあるゲームに組み込んだのだったなら、消費体力をいじる方法もある。つまりキャラクターが未熟なうちは、強力な呪文に必要な体力が無いのだ。もしもプレーヤーが気が付かずに呪文を使用したなら、待っているのは衰弱死である(非道ぇw)。

 …なんかまたTRPGやりたくなってきたなぁ。

(9/16/02)

☆ 火の蛇大好き

 貴方は『ソーサリー!』で登場する敵の中でどいつが最も好きですか?

 カクハバード中に散る連中はNPC的な存在はおろかモンスターの一匹一匹にいたるまで、どいつもこいつも一癖も二癖もあって非常に魅力的な奴らである。そうそうお気に入りを一つだけあげろと言われても困る方も多いのではなかろうか。ところで私自身はというと、実のところこの問いに明確な答えを持っている。それは今回のタイトルにも書いてしまったとおり、火の蛇である。
 火の蛇は言わずと知れた七匹の大蛇が一匹。残忍で狡猾で屈強で、おちゃめな奴である。

 魅力1 残忍さ
 大魔王の伝令としてカクハバード中を飛び回り、その度に災いを振りまく七匹の大蛇の悪名は高い。その一匹である火の蛇が残忍なのは誰もが知るところだろう。

 魅力2 狡猾さ
 スナッタの森で対峙したときに奴が採った戦法(木の上での待ち)から、かの蛇の悪知恵がそれなりにあることを計ることができる。奴の狡猾さの前に、選択肢を間違えば主人公は戦闘前に10点の体力点および2点の技量点(もしくは9点の体力点と3点の技量点)を失う羽目に陥るのだ。

 魅力3 屈強さ

 技量点13 体力点12

 この数値を見るだけで、この蛇が恐るべき強敵であることがわかる。これほどのステータスを持つ敵は、『ソーサリー!』全体を見ても他の大蛇達、マンティコア、ブロンズ像、神の頭を持つヒドラぐらいしか思いつかない。もっとも高ステータスを誇るこの蛇にも弱点があり、砂をかけられると極端に弱体化するのだが。

 魅力4 おちゃめさ
 上記3点と、これから挙げるいくつかの事例のギャップこそが、何を隠そう火の蛇を私のお気に入りに据えている所以である。そう、奴は残忍で狡猾で屈強でありながら、おちゃめなのだ。
 主人公を背負い袋ごとつかんで空を飛ぶシーンがある。だが、まもなく蛇は砂嵐に巻き込まれてしまうのだ。火の蛇は砂に弱く、当然砂嵐になど巻き込まれてしまったらひとたまりもない。背に生やした炎の翼はおろか、その巨大な姿すら消えてしまうのだ。しかし彼は、そんな状況でも一生懸命がんばるのだ。砂嵐に巻かれ、翼が消えかけていながらも懸命に羽ばたく姿、そしてその努力も空しく翼は消えてしまい、一直線に落下する姿…。なんともかわいいではないか。
 さらにそれだけではない。スナッタの森で奴はこともあろうか小さいヴァージョン(小さな赤い蛇。砂で弱った時などはこちらになってしまう。)で姿を表すのだ。一応罠の一環なのだろうが、その際に主人公とにらめっこするのである。んー、超ラヴリーではないか。

 ほら、貴方も火の蛇が好きになってきたんじゃありませんか?

(9/23/02)

☆ アリアンナの魔法

 シャムタンティの森の中に一人で住む美しき女。この悪名高き魔法使いアリアンナが作中で披露してくれるのは、呪いの言葉とゴーレムの魔法の二つである。呪いの言葉は複雑な儀式を必要とせず、なんと言葉を浴びせるだけで技量点を2点減らしてしまうという結構強力なものである。彼女が本気で呪詛を仕掛けたら一体どれほど強力なものになってしまうのか、想像するだけで恐ろしい。

 もう一つの魔法であるが、これは椅子をゴーレムにする術である。こちらも複雑な魔方陣などを用いるわけではない。ちょっとした主人公の隙をついて発動させることができるところから見て、おそらくは簡単な呪文を唱えるだけだと思われる。ゴーレムと化した椅子は主人公に襲い掛かってくるのだが、この術は実は幻影の魔法が見せる幻なのではないかという説があるようだ。実は主人公が第四巻でKID(アナランドの幻影呪文)使用した際に見せた幻がほぼ同じ内容なのだ。材料の違いこそあれ、家具をウッドゴーレムに変えて敵に襲い掛からせる、という共通点こそがこの説の根拠となっているのだが、自分はこれに異を唱えるものである。

「魔法の呪文の書」のKIDの項目には、この呪文は術者が思い描いた通りの幻影が現れると明記されている。しかし、アリアンナが作り出したウッドゴーレムには、なんとJIGの魔法(笛の音にあわせて標的を踊らせる魔法)が効くのである。もしもゴーレムがKIDで作られた幻影であるならば、JIGで踊りだすようなことはないはずではないか? アリアンナ本人が踊るならともかく、踊っているのはゴーレムである。もしも幻影が踊っているのならば、それはアリアンナが主人公のJIGにあわせて幻影が踊るように想像していなければならない。この戦い自体アリアンナから仕掛けてきたものであることを考えると、アリアンナにはJIGにあわせてゴーレムを躍らせてやる理由はない。やはりゴーレムは幻影などではなく、実体だと考えざるを得ない。

 こういう訳で、自分は「アリアンナのゴーレム=KID」説には賛同できないのである。

(9/23/02)

【追記】
 とは書いたものの、よくよく調べてみればKIDで主人公が見せた幻影ゴーレムは、火の玉による反撃をうけたさいに悲鳴をあげている。しかも燃えているのだ。その光景に驚いた主人公が集中力を失ったため、魔法は効力を失い幻影は消えたことになっている。つまり、幻影は主人公が予期していなかった動きをしたことになる。
 どうやらKIDが創り出す幻影は、幻影でありながら本物と同じように反応するものらしい…。

 さて、ここでアナランドの「魔法の呪文の書」を見てみよう。項目はもちろんKIDだ。


(前略)呪文をとなえてから、続けて何かの幻影を頭に思い浮かべて精神を集中する。その幻影は炎をあげる石炭を敷きつめた床でも、自分が悪魔に変身するところでもなんでもいい。すると、その幻影がねらった敵の前に本当に現れるのだ。(後略)

とある。ここでは幻影の性質までは語られていない。だが実際の効果を見る限り、どうやらただ姿のみの幻影でなはく本物と同じように存在しているように振舞う性質をもっているようである。
 こうなると、先のアリアンナのゴーレムもKIDか、それに類する魔法の産物なのかもしれないと思えてくるなぁ。

(9/28/02)

【追追記】
 …しかしKIDの効果を調べているうちに、次なる疑問が沸いてきてしまったぞ(笑
 最早アリアンナは関係なく、KIDに関しての話となるのでこの項目の追記でいいのかどうか迷うところだがまぁいいだろう。

 私はずっとKIDの呪文の行使の際に精神を集中して思い浮かべるイメージは視覚的なものだと思っていた。だが違うらしい。マンパン砦の厨房で、ホブゴブリンのスログにKIDをかけることができるのだが、その効果は「自分を大魔王の姿にする」というものであった。
 もちろん主人公はこの時点では大魔王の姿など知らない。(ZEDの魔法で過去に戻っていた場合のみ問題ないが、それをここで適用するのは禁じ手というものだろう。)実際、後に大魔王の塔の上階で大魔王と思われる人物に会った時、「この男が大魔王だろうか?」などと書かれているのだから確かである。
 主人公が大魔王の姿を知らなかったことは確定的だ。だがスログに魔法は効き、彼女は主人公を大魔王だと思い込んだ。一体主人公はいかなる幻影を頭に思い浮かべてKIDを使ったのか? 文字通り「大魔王、大魔王」と頭の中で念じていたとしか思えない。

 …実はKIDってすごい便利な魔法だったのだ。具体的なイメージが無くてもその幻影を見せることができるのだから。アナランドの治安は「冠」によってもたらされたのかと思っていたが、そうではなかった。他国の侵略ばかりはしかたないが、国内の犯罪であれば、たちどころに解決してしまうのだから。そう、KIDさえあれば犯罪者の割り出しが超楽チンである。「犯人、犯人」と魔法使いが念じれば、その姿は犯人のものになる。警察機構は(衛兵かな?)速やかに該当人物を見つけてくればいいのだ。

 そういやアナランドの誰もが「冠」を盗まれたところを見ていないのに、ザメンのバードマンが盗んだと知っていたな。バグランドから伝わってきた知らせによって大魔王が盗んだことを知ったことになっているアナランドであるが、実はもっと簡単に犯人を割り出すすべをもっていたはずなのであるw

(9/28/02)

【追追追記】
 まぁちょっと冷静に考えれば↑のようなことはありえないよねw
 KIDは幻覚の魔法である。つまり、精神操作の術ということだ。スログと大魔王の幻影からわかることは、KIDという術は、対象となる者の記憶から情報を引き出すということだ。大魔王の幻影はスログの目にしか見えないというのが実際のところだろう。(その場に第三者がいて、その人物も大魔王を知っており、さらにKIDの対象になっていればそいつにも大魔王の幻影が見えるということ。)

 だいぶ現実的な考察になったな?

(5/11/10)

メニューへ戻る

次へ進む

前へ戻る