結論から申せば、男性である。
…何がって、主人公の性別なのだがね。
基本的に、『ソーサリー!』では読み手の分身である主人公の性別を特定する表現は出てこない。読み手が老若男女様様であることを意識してのことだと思うのだが、とにかく性別は特定されないよう配慮されているような印象を受ける。
でも男なのだ。第四巻『王たちの冠』ではっきりと明言されているのである。
もちろん原文では性別を限定していない文章である可能性は残っている。残念なことに手元に英語版4巻がないので、現状確認しようが無い。原書を手に入れた暁には、まず確認したい点である。
もしも原文では性別不明であったならとか考えていたら、翻訳された言語ごとに主人公の性別が違うのかもしれないとか想像が発展してしまった(笑 おそらくは性別不明、でなければ男性なのだろうけど。
とりあえず日本のアナランド野郎は男ということで。でも新訳版ではどうだろう?(笑
【追記】
先日原文が手に入ったので、早速パラグラフ75を見てみた。するとだな…
これが創元訳から引用した部分と同じ部分の引用である。というわけで、英国の「あなた」は性別不詳であった。まぁそうだろうとは思っていたが…。
【追追記】
旧訳3巻のパラグラフ252に、フェネストラが侵入者である主人公に対して「見知らぬ男」と発言してます。創土版では「よそ者」となっており、原文は「a stranger」でありました。
4巻における男性記述とは異なり、あくまでフェネストラの発言なので、彼女には男だと判断されたということにとどまりますね。
【追追追記】
FFコレクション版においても、大魔王の塔とフェネストラの言ともに性別不明でした。
高地ザメンを探索中、君が出会えるかもしれない聖人コレタス。この盲目の聖人との出会いは、君の旅の成否に大きくかかわってくるであろう重要な出会いである。
ところで、コレタスとの出会いのシーンでこのような記述がある。
…はて?
そんな伝説、あったっけ…?
というわけで、クリスタタンティを調べてみました。するとだな… そんなもんはなかったりw;
おいおいおい…。こんなことってあるのか?
とりあえず、それらしいのを探してシャムタンティ中を探し回りましたよ。
カントパーニの外れ、木の上の老人が語る詩である。だがこれは、かつてカーレの牢番であった盲目の乞食の手がかりである。だがその乞食はクリスタタンティにいたりする。微妙に関連しているこれらの事項…
…構築上のミス?
皆さんは時の蛇の言葉を覚えているでしょうか?
マンパンの大魔王に伝令として仕える七匹の大蛇達は、皆ある神の掟に縛られています。「蛇の指輪を持つ者には真実を一つ話さなければならない」これが彼等に架せられた掟で、彼等はこれを破ることはできません。さて、件の時の蛇ですが、彼は指輪を持つものにこう語ります。「大魔王は見ただけではそれとわからない。」と。
マンパン砦を支配し、カクハバード全域の支配を目論む大魔王。『ソーサリー!』のクライマックスで明かされるその正体は、黄泉の国の悪魔です。彼は砦の住人であるファーレン・ホワイデに取り憑くことで正体を隠しており、その事実を暴かないことには『ソーサリー!』のクリアはありえません。
ここで『タイタン』の大魔王の項(351ページ)にあるイラストを見てみましょう。アヴァンティのヒドラと戦う大魔王の姿です。ところがこの後姿は、どうみても黄泉の国の悪魔とは違います。もちろんファーレン・ホワイデとも似ていません。となると、この姿こそが時の蛇の言う「装っている」姿ということになります。そしてこのイラストの大魔王と同一と思われる人物が、ちゃんと『王たちの冠』に登場しているのです。そう、大魔王の塔の書斎にいる男。彼です。
彼が大魔王の影武者であることは、初めて出会った時の「この男が大魔王だろうか?」という描写や、大魔王の塔と呼ばれる建物の中で最も力を持つ立場であること、そしてなにより『王たちの冠』の表紙イラストが、冠を手にした彼の姿であることから確実であると断言できるでしょう。
数多くの魔法を操る彼の魔法の腕は、これまでの旅で成長した主人公にも劣りません。また彼の部屋には星を見るための機械(望遠鏡)がありますが、アナランド人の主人公はそれを理解できていません。すなわち、彼の知識レベルはアナランドよりも相当上を行っていると言えるでしょう。彼がカクハバード全体でも指折りの知識人であることは間違いありません。まさに黄泉の国の悪魔である大魔王の影武者にふさわしい人物です。
…しかし、私はこの男が単なる大魔王の影武者とは思えないのです。先に私がたどり着いた結論を述べてしまおう。この男は、「かつて大魔王だった人間のなれの果て」ではないだろうか。
ファーレン・ホワイデは先に述べたとおり、大魔王がその内に隠れていた人物です。彼にはラドルストーンからさらわれてきた科学者という身元があるのですが、ミニマイトのジャンによれば全て嘘っぱちであるといいます。
しかし、たとえジャンが正しかったとしても、大魔王が最初からホワイデに取り憑いていたとは思えないのです。ホワイデはシンのサマリタンとつながりがあることがわかっています。彼はサマリタンのリーダー、ピーウィット・クルーの顔を知っていますし彼等を呼ぶための銀の呼び子さえ持っているのです。
大魔王が自分に弓を引くサマリタンを嫌い、サマリタン狩りをしているのは周知の事実であり、したがってホワイデが大魔王に取り憑かれる以前からマンパンにいるのは確実になります。でなければ、大魔王がサマリタンの居場所及び正体を知らないはずがないからです。知っていればサマリタン狩りをして罪のない部下を殺してしまうような、わざわざ配下のバードマン達に恨まれる行動を取る必要はないはずです。
すなわち大魔王は、ホワイデがサマリタンの仲間になった後、ホワイデの身体を乗っ取ったことになります。
では、その前は大魔王は誰の身体を使っていたのでしょうか?
マンパン砦が建設されたころに、話し合いと偽ってシンの長を殺したり、先に見たヒドラ退治などで、幾度か大魔王はその姿を人前にさらしていますが、その外見は「影武者」のものです。このことはヒドラ退治のイラストや、同じく『タイタン』に乗っている若き日のコレタスが大魔王に不意打ちをくらわせようとした時のイラスト(187ページ)からわかります。「影武者」はこのころから大魔王の影を勤めていたのでしょうか?
コレタスとの戦いにおいて「影武者」は大魔王が契約していた魔神達が送り込んできた火球にて助けられています。しかし、魔神達がわざわざ影武者を助けたりするでしょうか? 大魔王本人ならともかく、ただの影武者を守るとは思えません。
つまり、私はこの時点では「影武者」は大魔王本人であったと考えるのです。既に魔道では名を馳せていた彼はその後も魔術の腕を上げ、ついには悪魔へと転生する術を身につけて使用したのではないでしょうか?
悪魔へと転生した彼はネクロマンサーの腕をふるい、かつてヒドラの首から七匹の大蛇を生み出したように己の元の身体を生き返らせて、影武者に仕立て上げたというのが私の仮説です。
皆が大魔王と思っている姿を持ち、またそれにふさわしいだけの魔術の腕を持っている(本人であるのだから当然なのですが)。影武者としてこれ以上の存在はいないと思いますが… いかがでしょうか?
【追記】
今更ながら「大魔王」の原文が「Archmage」であることに気がつきました。アークメイジなら、実は正体が黄泉の国の悪魔という展開は意外性があったのかもしれません。日本では大魔王というと(主にドラクエ等コンシューマーゲームのせいで)悪魔でも全然予想の範囲内なのが残念でありますね。
「大いなる魔法使いの王」ってとこですか。
【追追記】
創土版では「大魔王」ではなく、「大魔法使い」になっていますね。
大魔王という言葉の響きはかなり好みですが、作中での扱い(正体の意外性など)を考慮すると、原文どおり大魔法使いのほうがあっているかと思います。