『タイタン』『モンスター事典』におけるカクハバードの記述に関して。
・ザメン高地には殺生怪がすむ。(タイタン)
・大魔王はオーク、ゴブリン、トロールを従えている。(タイタン)
・モーリステシアにはチャムパック、鳴き山猫、マンギー、死霊猿が住む。(モンスター事典)
・大蟹がカクハバードの海岸に住む。(モンスター事典)
・カクハバード北部にはお化けトカゲが住む。(モンスター事典)
・蟷螂男はバク地方北部に住んでいる。(モンスター事典)
・カクハバード中部から南部にかけて、蝙蝠が生息する。(モンスター事典)
・火狐はスナッタの森に生息している。(モンスター事典)
・カーレの下水道には、下水蛇が住む。(モンスター事典)
・バードマンもまた、カクハバードの山岳部全域に生息している。(モンスター事典)
・カクハバードの沼地にも、大ヒルは住んでいる。(モンスター事典)
・ザメン、およびザンズヌ連邦にはオークの「切断族」が生息する。(タイタン)
・カクハバード全域に渡ってゴブリンが闊歩している。(タイタン)
・ウィシュラミ沼に生息するウグラック・ジェイ族、沼ゴブリンの習性から、
同沼には沼霊、ココモコアが住んでいると考えられる。(タイタン)
・「カーレ式ルーレット」とも呼ばれるナイフ・ナイフはその名の通りカーレが本場である。(タイタン)
・カクハバードでは黄死病が流行り始めている。(タイタン)
・バク平地の小川は沸騰するか、氷塊がきしんでいる。(タイタン)
・「王たちの冠」を造ったのは冥府魔術師団である。(タイタン)
イルクララ湖には正体不明の魔物が住んでいて、そいつは船を転覆させて哀れな旅人を水に引きずり込むという…。(第三巻・パラグラフ 281)
…これって、単に水の大蛇なんじゃないのか?
【追記】
『タイタン』の記述によれば、沼ゴブリン――通称、ウグラック・ジェイ族――は、沼霊の王ヴルクや巨大な不死たるナメクジ、スラームを崇拝しているとある。沼ゴブリンがイルクララ湖以外にも住んでいるのかどうかは不明だが、「族」というぐらいなのだからイルクララのそれ以外にも分派がいると考えるのが自然だろう。(もっとも、生物学における分類階級の「族」 Tribus の可能性もあるのだが)ウグラック・ジェイとは、イルクララに生息する沼ゴブリンの一派だと仮定した場合、その崇拝対象もイルクララ周辺に限られていると考えることができる。
イルクララの魔物に相当しうる存在は、水大蛇だけではなかった!
1)水面下に潜み、姿はわからない
沼霊の王も、巨大ナメクジもこの条件は満たしていそうだ。(『モンスター事典』に書かれた沼霊とは、一見泥と変わりない姿で潜み、立ち上がるときはかろうじて人型を保つような、流動動物である。分裂して繁殖するということから、アメーバ人間のような印象を受ける。)
2)船を転覆させ、犠牲者を水に引きずりこむ
主人公の足を「捕らえる」と本編には書かれている。水大蛇だとすると巻きついているということなのだろう。普通の沼霊の流動的な腕では、物を掴むことができないと考えられているが、「王」と称されるヴルクの場合は不明。ナメクジにはそのような器官は無いが、なにしろカーカバード、しかもバク地方に生息する生物なので常識外の器官を備えていても不思議ではない。
……この段階では、やはり水大蛇がもっとも有力な候補といえるだろう。ヴルクとスラームの場合はやはり「かもしれない」という想像の力を借りるしかないからだ。
だが……本編での描写をあらためて見ると、「あぶくを出す」という特徴があるのに気がついた。ボコボコあぶくを出すとなれば、水大蛇よりも沼霊やナメクジのほうがありそうな気もしてくる。あるいは大蟹か。
しかし、ボス敵レベルの生き物がごろごろしているとは……恐るべしイルクララ。
advancedfightingfantasy.com によれば、マンパンの神々の名前は、太陽の女神グランタンカ、月の主ルナーラ、風の司にして空気の王パンガラ、海の王者ハイダナ、「時」クロナダ、炎の司テレバ、大地母神アリシャンカの7人であるという。
これらの神はマンパンの大魔王に使える七匹の大蛇に対応しているのだが、私は初めてテレバとアリシャンカの名前を知った。どちらも『ソーサリー!』本編や『タイタン』では見た覚えがない。
地の神はスロフかと思っていたんだが、どうやら彼女は今は崇拝されていないようだ。そういえばヤドゥーのスロフの寺院も廃墟だったしな。ん? あれはクラッタマン達に荒らされたんだったけか?
いずれにせよスロフは、バクランドに寺院があるぐらいだからそうとう力のある神なのだろう。本文中でもかなり強力な「神罰」を披露してくれるしな。そんな彼女の寺院がクラッタマン如きに荒らされているというのは、現在は彼女はあまり信仰されていないという証明なのかも知れない。
地の神といえばマンパン砦で出会う神の頭を持つヒドラとの戦闘描写には、地の神の能力は含まれてはいないけれども、それがスロフではないというのは何となくうなずける。ヤドゥーの寺院でスロフの信者になっている場合でも、ヒドラは容赦なく攻撃をしてくるだろうからだ。(もっとも、あのヒドラは幻影なのでこんなことを考えても意味はないかもしれないが。)
【追記】
アリシャンカというのはスロフの別名とのことであった。
先日『タイタン』でも見たことがないと書いたが、実は載ってた。
【追追記】
アリシャンカがスロフの別名であるならば、ヒドラは自らの信徒でも容赦なく攻撃してくることになる。たしかに作中でのスロフは激しい御方であるが、自らの信徒となれば命までは取ったりはしない。となると、容赦なく攻撃してくるマンパンのヒドラは大魔王の悪趣味な悪戯なのだろう。
この神の頭を持つヒドラという事象に関しては、いかに幻影とはいえ、本当に神の意志が働いている可能性もあったと考えていたのですよ。大魔王が生み出した七匹の大蛇が一匹、地の蛇はこの神の加護を受けているわけなのですから。
……と、言ってみたものの、よくよく考えてみればスロフの信者がヒドラまでたどりつくのは構造上無理ではないですか。ありえない展開について思案しても意味はなかったな(まぁZEDを使えば可能なんだが)……すると、ヒドラの幻影に神の意志が宿っている可能性も残っているわけか……。
ちなみに『タイタン』の神々の項によれば、スロフは心優しい女神である。実際カクハバード中でもっとも優れた癒し手である、聖人コレタスも彼女の信徒なのだ。おそらくは優しくも厳しくもある生命の神なのだろう。
アリシャンカとスロフという二つの名は、その対極とも言える性格を表しているのかもしれない。とか思ってみたり。
【追追追記】
スロフからは少し離れるが、『超・モンスター事典』の七匹の大蛇の項によれば、火炎大蛇の力の源は火の神フィラッシュであるという。困った時の Titannica を当たってみると、Tereba はフィラッシュの別名とのこととあり、それぞれの記事が書かれた場所によって呼び名が変わっているということに落ち着きそうである……