★ ちょろい大蛇たち

『超・モンスター事典』がついに手に入ったので、早速ぱらぱらりと覗いてみますと……サイトマスター、ミニマイト、女サテュロス、クラタ人などが追加されておりますな。こいつは嬉しい。さらには眠れぬラムに大ボス冥府の魔王、そして七匹の大蛇の項目が!  特に興味を覚えたのが七匹の大蛇。本編および『ソーサリー・キャンペーン』ではフェネストラの虜となっていた日輪大蛇の詳細な戦闘能力や耐性が判明したのは大きい。それに「蛇の指輪」についてもわかったことがあったりするが、これは後日改めてといこう。

 それよりも七匹の大蛇の項に添えられたイラストが気になってしょうがない。火炎大蛇及び日輪大蛇について書かれた部分には、それぞれのイラストがある。これは第三巻のイラストであり、おなじみのモノだ。ほかの蛇にはイラストは無い。だが、七匹全体について書かれた冒頭部分に見覚えのあるイラストがついているのだ。羽のある大蛇が一匹、魔法使いらしき男性と共に描かれている……これ、GODの呪文のイラストではないですか!

 普通に考えれば、もちろん「羽根のある大きな蛇」しかも出典と同じ『ソーサリー!』の「ジョン・ブランシュによるイラスト」ということで抜擢されたのであろうが、『ソーサリー!』本編においてはこいつは「魅了の呪文」である。イラストの蛇――つまり七匹の大蛇――も、魔法使いに熱い視線を送っているのだ。

 この項目に列挙される大蛇たちの恐ろしさ、手ごわさの記述も、このイラストに気づいてしまったらかわいらしく感じてしまうのが不思議だ。奴らの凶悪さは何ら変わりなく、むしろ複数のプレーヤーキャラがいることが前提のAFF2に対応することで数値的にはゲームブック版よりも強化されているというのに……。

(5/16/20)

【追記】
 ところでこのメロメロ大蛇であるが、こいつは一体どの大蛇だろう? 流石に七匹全員がちょろいとは思いたくない。イラストを見るに大きいだけで普通に蛇のように見える。ということは火炎大蛇及び水大蛇、それに風大蛇ではあるまい。こいつらは見た目からして精霊系だからだ。
 牙のような突起物が背に並び、鱗は不揃いな円形、そして顎鬚が生えている。明らかな特長としては羽が極めて小さく、この羽根では普通に飛ぶことができないと思われる。そうなると、これは土大蛇だろうか……?

(5/16/20)

★ 大ハズレ

『超・モンスター事典』によれば、ネザーワールド・デーモンは常にタイタン世界へ入り込むチャンスを狙っているとのことである。連中は熟練の魔術師や召喚術師にとりつくことで、タイタン世界へと手を伸ばしてくるのだという。これこそが大魔法使いの正体である冥府の魔王なのである。(原文では「Netherworld Demon」)
 デーモンが魔術師にとりついた場合、魔術師の方は即死してその身体はデーモンの意のままとなり、征服や殺戮などの行動に出るらしい。こういった行為で悪名高い魔導士たちの何人かは、実はネザーワールド・デーモンかも知れないというわけだ。

 さて、マンパンの大魔法使いである。『超・モンスター事典』ではこの魔法使いもまた、デーモンの被害者であるという説と共に、元々彼は半ばデーモンであったという説もあると二つの可能性を示唆している。『ソーサリー!』での描写を見るに、デーモンが取り憑いているのはファレン・ワイドだ。『タイタン』のイラストからは、魔法使いの塔で遭遇する偽物が大魔法使いその人であったと読み取れる。そして今回の『超・モンスター事典』での記述……。大魔法使いの正体については未だ明確にはされていないと言えるだろう。(引き続き妄想が捗りますね!)

 だが一つ確実なことがある。もしも大魔法使いがネザーワールド・デーモンに取り憑かれたとした場合、ヤツはハズレを引いたということである。悪の勢力として働くべくタイタンに降臨するネザーワールド・デーモンだが、マンパンではそううまくはいくまい。なにしろ大魔法使いは自らの正体が砦内でばれることを恐れて身を隠している有様なのだ。アナランドから冠を奪ったのが生前の魔法使いだったのか、それともデーモンだったのかはわからないが、いずれにせよ冠は彼の役には立たなかった。魔法使いが正体を現せないほどの無法地帯なのだから仕方がない。デーモンお気に入りのやり方はマンパンでは通用しないのだ。冠を奪われたアナランドやフェンフリー同盟としてはたまったものではないし、充分悪の陣営として働いているように見えるが、残念ながらその先が続かないのである。

 マンパン砦の状況を創り出したのが大魔法使い本人だったというのは中々面白い。彼は自らの身を犠牲にしてデーモンを一匹無力化したとも言えるのではなかろうか。むろん、結果論ではあるが。

(5/23/20)

★ 厳しいリブラ様

 我らが勇敢なアナランダーの守護神である正義の女神リブラ様。彼女の力は非常に大きく、力が及ぶ範囲であればかなりの窮地でも(一巻につき一回だけという制限があるにせよ)救ってくださる。だが、そんな彼女でも死んでしまったアナランダーのリカバーはしてくれない。諸王の冠を巡る冒険、ひいては善と悪の戦いでもあるこの冒険行はリブラ様としても何としても成し遂げてもらいたいはずである。だが死んだ英雄が生きかえることは無い。神々といえども、力には限りがあるということなのだろうか……?

 ところが、リブラ様が還魂の秘跡を顕わされるシーンはあるのだ。第一巻の終盤、マンティコアが潜む洞窟の中にある蛇穴の罠。女神に助力を願えば、蛇が生きた梯子となって這いあがることができるのだが、実はこれ蛇を全滅させた後でもできるのだ。つまり、死んだ蛇たちが蘇って梯子になるというわけです。はっきりと「生きた梯子」と書かれているのだから間違いありません。

 蛇はOKだが、アナランドの英雄はNG。これは一体どういうことか? リブラ様はアナランダーの守護神ではなかったのか?
 もしかすると、多くの神々がお気に入りの下僕を地上に持つ世界観では、命に関する制限がある程度は無いと泥仕合になってしまうということなのかもしれない。神々のルールを垣間見た気がしますぞ、これは。

 あるいは……著者および原書の読者、つまり西洋系の魂感では人間と蛇では明らかにランクが違うということなのかも?
 人間では無理だが、蛇が如く低級の生き物なら可能という……。例の世界宗教なんかは明らかに生物をランク分けしてますしね。常識に乗っ取るとそれで普通って感じになるのかもしれません。

(5/30/20)

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