★ 先代勇者

 主人公がこの任務に就く以前に、マンパン砦を脱出するための合言葉を探り出したリブラの使徒。その者がいかなる任務で砦に入ることになったのかはわからないが、その働きは冠奪還の任務に必須となる。ところで女神様の言葉によると、この偉大な先駆者は「ひと世代前の」者とのこと。『タイタン』を見る限りではマンパン砦がつくられてから4、50年と言ったところだから、確かに年代は合う気はする。
 ところで一方、『モンスター事典』を見てみるとアランシアやカーカバードでは30歳を無事に迎えられる者は少ないという記述があったりする。とすると、本来ならふた世代ぐらいは経っていても不思議ではないということではないか? だが女神ともあろう者が勘違いしているとも思い難い。となると、考えられる可能性は二つだ。恐るべきマンパンの潜入ミッションをこなしたこの人物は、実に凄腕で危地に身を置きつつ通常の二倍の寿命を誇ったという可能性が一つ。もう一つは単に砦が作られてから20年ぐらいたったころに、この人物が活躍したのではないかということである。個人的には前者を推したい。だってそのほうがロマンあるじゃないですか。
 どちらにせよ、見逃せないのは現在においても合言葉は変わっていないということだ。身を守ることに細心の注意を払っている大魔法使いが、一度バレた合言葉をそのままにしておくわけがない。つまり、合言葉が盗まれたということをマンパンでは誰も気づいていないということではないか! なんたる凄腕!
 流石はリブラ様。主人公もそうだが、実に良い駒をお持ちである。

(7/19/20)

★ 北門の通過者

 第二巻のラスト、511のイラストを見ていただこう。四行の呪文を集めた主人公が、カレーを発つ際に北門を開いたシーンである。大きく開かれた両扉の向こう側に、バク地方の風景が見える。いよいよ前人未踏の第三巻へ……という場面なのだが、よく見てみると北門を越えたと思わしき轍の跡が描かれているではないか。しかも少なくとも3台分。
 轍の跡が消えない魔法の車でもない限り、普通に考えれば轍の跡なんて時間と共に消えるはずである。追跡を拒むために轍の跡が着かない車ならともかく、轍を延々と残す魔法なんてのも意味不明だ。となると、この轍を残した車(大八車か、あるいは馬車か)は、つい最近北門をくぐったということだ。

 カレーの北門が開くなど、そうそうあることではない。常にクロリアの精鋭と硫黄霊に護られている要所なのだ。だが主人公は門に近づくことができた。直前に門破りが発生していたのであれば、もっと厳戒態勢になっていなければおかしい。つまり、北門をくぐった者は、正規の手続きを踏んたのに違いないのだ。そうなると、考えられるのはただ一人となる。
 そう、北門を開けることができるのはサンサスのみである。彼はカレーの貴人の第一の者であり、全ての行を知っているのだから。実際のところ、クアガ神殿で聞ける神託によればサンサスは現在カレーにはいないという。川を上っていったらしいが、北門の様子をみるに、彼はカレーの港から直接行ったのではなく、一度北門から外へ出て、それから川上へと向かったということだろう。
 彼の目的はゲーム中では明らかにされることはないが、それなりの荷を携えて出立したにちがいない。

(7/26/20)

★ マンパン捕物帖

 大魔法使いの特別な囚人たちを閉じ込めるための塔。ZEDに頼ることなくこの塔を脱出することは可能だが、その後は続かないデッドエンドルートとなっている。さて、その際に如何なる最期が待っているのかと言えば、マンパン砦に戻った主人公の前に砦中の衛兵が集まっていて、圧倒的な物量の前に我らがアナランダーは屈するというわけだ。祝福された槍があっても、体力的な疲弊からいずれ山と押し寄せる衛兵たちに押しつぶされてしまうのである。

 この衛兵たちが集まっている場所は、実はファレン・ワイドの部屋の前、マンパン砦を脱出した秘密の抜け穴があった場所である。ファレンが大魔法使いその人であることを知った主人公が再び砦に入り、今度は抜け穴を逆に通ったところ、そこには衛兵が山ほど待ち受けていたという流れになっている。
 この抜け穴を通るには秘密の合言葉が必要だ。そうなると、もともと大魔法使いはこの袋小路――抜け穴を通れない限り、ここはどん詰まりなのだ――でアナランド人をとらえるつもりだったのではあるまいか。砦中の衛兵でもってあたるというのは、慎重を期す大魔法使いらしい。ファレンがアナランド人に抜け穴のことを話すのは、少しでも敵を足止めし、その間に衛兵を集めようという企みではなかったろうか。
 そしていざ、衛兵たちが来てみるととらえるべき獲物の姿はなかったのだ。合言葉は盗まれていたのだ。次々と集まってくる衛兵たちは、最前列のことなどわかるはずもなし。さぞ現場は混乱したに違いない。そこへ随分と経ってから、ぬけぬけとアナランダーが戻ってきたというわけである。その間ずっと衛兵は待機していたというわけだ。どういうわけだ?
 大魔法使いの影武者がアナランダーを捕らえたとき、それを大魔法使いに知らせなかったのだろうか? まあ結果的にアナランダーは逃げ出して砦に戻るわけで、衛兵たちが解散せずに待機していたことは幸いであったわけだが……。

 ちょっと考えてみよう。あれだけの衛兵が集まっているとなると、おそらくファレンの部屋にも衛兵は立ち入っていたはずである。ファレンは大魔法使いその人ではあるが、その事実は知らされてはいない。つまり衛兵たちにとってファレンは取るに足らない存在なのだ。アナランダーを捕らえようと殺気だっている衛兵たちは、ちょっとしたきっかけでファレンを殺してしまわないとも限らない。大魔法使いの性格からして、そのような状況を受け入れるとは考え難い。つまり大魔法使いはファレンとして安全に身を隠すことで精いっぱいだったのではないかと推測される。
 影武者からの連絡を、大魔法使いは受け取れなかったということなのだろう。大魔法使いとしても相当慌てたに違いない。

(8/1/20)

メニューへ戻る

次へ進む

前へ戻る