★ カーカバードの戦卿たち

『超・モンスター事典』のサイトマスター(物見)の項目では、カーカバードの戦卿なる存在のことに触れられている。戦卿には「ウォーロード」とルビがふられているのだが、これ原文では Warlord なのだろうか? 残念ながら原書『Beyond of the Pit』を所持していないのでわからない。だが多分そうなのだろう。
 なぜそう思うかというと、カーカバードの Warlord なれば実は『ソーサリー!』本編でその名を見ることができるからだ。さて、どこに登場するのかというと、冒頭にある「諸王の冠の言い伝え」の最初のほうである。


Although several warlords had tried; Kakhabad had never been ruled.

 かつてカーカバードを支配しようと試みた武将たち、旧訳では「征服者」と訳されている者たちが、その Warlord たちなのだ。彼らの試みはいずれも失敗したとあるが、『超・モンスター事典』の記述では現在も Warlord は存在しているようにも読める。アナランドを裏切ったサイトマスターを雇い入れるとされる者の中に名を連ねているのだ。

 では現在におけるカーカバードの戦卿とは誰だろうか? 冒険中は足を踏み入れないクラッタ・バク・ステップや最果て海岸沿いに勢力を持っていると考えることもできるが、普通に考えればマンパンの大魔法使いその人だろう。だがそれならば、カーカバードの戦卿などと書かずに大魔法使いの名を挙げればいいはずではないか……?

 もしもカーカバードの外からこの混沌の吹き溜まりを見た時、そこで群雄割拠状態にある者どもを総じて「カーカバードの戦卿」と呼ぶのであるのならば、大魔法使いは Warlord の一人ということになる。カーカバードは統一されていないのだから、この線はありそうだ。そうなると、他にはどんな面子が Warlord 足りえるだろうか。

 まず名を挙げたいのは、カレーの第一貴人サンサスである。カレーは表立って野心をもってはいないようだが、カーカバードにおける一大勢力であることは間違いあるまい。本編には登場しないものの、マンパンに対抗しているシンの鳥人たちの長にもその資格はあるだろう。

 他に考えられるのはクラタ族ぐらいだろうか。クラタ族を侮ってはいけない。彼らはあの広いバクランドの隅々まで略奪の手を伸ばしているのだから。クラタ族の集落で戦うことができる代表戦士を Warlord に数えることはできそうだ。あと勢力としては小規模ながら、首狩り族の族長なんかもありかもしれない。

(10/10/20)

★ スタンドアローン

『ソーサリー・キャンペーン』はAFF2シナリオなので、プレーヤーはパーティーを組んでいることが前提となっている。AFF2に組み込まれたことで、元祖ゲームブック版『ソーサリー!』は一つの際立った特徴を持つことになった。ソロパーティーである。

 さて、そうなるとソロならではの展開を求めたくなるもの。ちょいと記憶を辿ってみると、これはソロでないとできないなってシーンが思い浮かぶ。皆さんはどのシーンでしょうか? 私が真っ先に思いだしたのは第四巻、マンパン砦に侵入するシーン。あのコメディ映画にありそうな衛兵たちとのやり取りです。
 砦入口の上に登り、ドアを足でノックする主人公。一人ずつ姿を現す衛兵たち。どのタイミングで飛び降りて中に滑り込むかが試されるあのシーン。あればかりは複数パーティーでは無理だ。戸口の上に何人もの冒険者たちがとりついているというのは絵としては面白いが、様にはならない。

(10/17/20)

★ 下人ミニオンズ

 マンパン砦、スログの厨房で働く下人ども。原文では Minion 。旧訳ではミニオンとカタカナ語化されていた彼らであるが、実は『超・モンスター事典』に収録されている。つまりこれは種族であるということだ。
 MtGなどかじっていると、ミニオンと言われるといわゆる「使役される存在」というニュアンスでとらえてしまいがちでして、創土版の下人というワードもいいなと思っていたりもしましたな。

『超・モンスター事典』にてモンスター名とあかされたミニオン。どんな連中なのかと言えば、どうやら変異現象肉団子を計画的に食わせて生み出されたとか、カーカバード特有の謎の種族とか所説ある感じでふわっとしています。いずれにせよカーカバード以外では基本見ることのない連中のようだ。一様に無毛とのことで、ちょっとニブダムに近いものを感じさせる。ニブダムはマンパンの科学交配実験で産み出された生物なのだが、もしかしたらミニオンも同じように生み出された存在なのかもしれない。
 もっともニブダムは生命としては弱く、遠からず死滅する運命だというが、ミニオンたちはいたって元気そうだ。今日も彼らはスログに棒でひっぱたかれながら、マンパン砦の食を支えている。

(10/24/20)

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