★ 甘ちゃん

 バク地方の旅を始めてすぐ、我らがアナランド野郎は夜鷹の攻撃を受けることになる。ここで奴は「もしや鳥人では?」と慌てふためくのであるが、すぐさま「マンパンからこんな離れたところまで連中が来るわけがない」と思い直す……正直甘ちゃんであると言わざるを得ない。
 今、君がここに居る理由を思い出したまえ! その鳥人が冠を盗んだからではないか。アナランドまで飛ぶ鳥人が、何故にバク地方に飛んでこないなどと考えるのだろうか……

 一応調べてみたが、創土訳のみならず旧訳も原文のアナランダーも皆甘ちゃんであった。

(5/22/22)

★ 恐い大蛇たち

 月大蛇を見て恐怖のあまり死んでしまうレンフレンの様子からもわかる通り、七大蛇はものすごく恐れられる存在である。マンパンの密使としてバク地方を飛び回り、あちこちで災厄を振りまいていく彼らによる被害は大きい。渡し守しかり、フェネストラの父親しかりだ。
 セスターキャラバンが間抜けなアナランド人を大魔法使いに差し出すシーンでも、彼らは七大蛇に直接会おうとはしなかった。これはおそらく七匹が普段から気まぐれに理不尽な殺戮を繰り返しているからだろう。

 一方でバク地方の住人たちは、それぞれに七匹への対抗策を練っている様子。これはこの地を旅する中で、大蛇たちの弱点を多くの者たちから聞き出せることから確実だ。しかしフェネストラを除くと、彼らは大蛇退治を積極的に行う気はないらしい。他の大蛇からの報復を恐れているのかもしれない。殺る時は七匹全員を一気に殲滅しなければならない……そんな機会はまず訪れないだろう。

 それを考えると、ヴィシュラミ沼のゴブリンたちは実に勇敢だ――七匹のうち最も強力といわれる時大蛇に挑もうというのだから。フェネストラがLIXの巻物を託したのも、その勇気に感銘してのことかもしれない。水大蛇を親の仇と狙う彼女にとって、おそらくは初めての同志だったろうから。

(5/22/22)

★ 好奇心が英雄を殺す

 第三巻で最も理不尽な死とは何か。
 個人的には、怪しいつむじ風に触れたときに訪れる死ではないかなと思う。いきなり遭遇し、思わせぶりな選択肢をチョイスしていくと発生する突然死。吸い込まれてどうなるのかと思いきや、単に意識を失って死に至るとだけある。風に巻かれるうちに気を失い、バクの荒れ地で意識を取り戻すことなく死ぬというのだろうか。似たようなシーンに、セスターたちに磔にされて力尽きる場面があるが、あれは気を失ったアナランド人が烏に食われるというものだった。確かにバク地方で無防備に転がっていれば、烏やハイエナのようなスカベンジャーの恰好の餌というものだ……

 ところでこの怪異、『モンスター事典』に似たような存在が載っている。「砂お化け」というのがそれだが、グループSNEによる新訳では「サンド・デビル」とカタカナ訳になっている。砂漠エルフと友好関係にあったり、縄張り意識を持つなど、記述を読む限りでは何らかの生き物らしい。生息地はアランシアの髑髏砂漠となっていて、どうやら第三巻で遭遇する奴はサンド・デビルではないのかもしれない。バク地方の奴はYAPにもRAPにも反応しない。YAPがダメということは、生き物だとしても思考を持たないタイプなのだろう。先に見たサンド・デビルの対外関係性は思考無しには難しく思える。それにサンド・デビルの項目を読む限り、その風で巻き上げた砂が殺傷能力を持つとある。一方で「奴」は意識を失わせる程にまで吸い込むわけで、大分異なる。やはり別の存在と考えたほうが正しいようだ。

 先に理不尽とは書いたが、遭遇した後、複数回に渡ってちょっかいを出さないと死には至らない。その間いつでも立ち去る選択肢はあるし、魔法使いならば危険感知の術で「危険・近づくな」と知ることもできる。Wiz3の「墓場は暗く……」ではないが、好奇心が仇となる仕掛けとなっているわけだ。残念ながら、あまりにも唐突な上にいまいち状況が理解しづらいところもあり、やっぱりマイ理不尽さランキングNo.1は揺るがないなぁ。

(5/22/22)

【追記】  
『超・モンスター事典』の中に、おそらくそのものずばりな存在を発見しました。「竜巻霊(ワールウィンド)」という名で、風の精霊に属する存在とのこと。出典は同じジャクソンによる『バルサスの要塞』。残念ながら『七匹の大蛇』の書名はない。
『バルサスの要塞』から引用されたイラストには女性の顔が浮かんでおり、一見似つかぬようにも感じるだろう。しかし、記載された攻撃方法には「体当たりして相手を巻き込むこともできる」とある。体力点を2点奪い、さらには気絶させられてしまうのだ。これは例のつむじ風と同じと考えられないだろうか。風貌の違いについても、竜巻霊には男女があり、見た目が違うと書かれている。男のほうは表情もなく意思の疎通も不可能とあるのだ。『バルサスの要塞』に登場したものは女性の個体だろう。表情がないというのが微妙な記述だが、女性体についてはわざわざ「おおむね人型でぼんやりと女性の顔が浮かんでいる」と書いてあることから、男性体は人間に近い姿はしていない――つまり、ただのつむじ風のような外面をしている――と解釈できなくはない、と思うのである。

 出展に数えられていない点はマイナス材料ではあるが、いかがだろうか?

(7/30/23)

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