★ 二つの顔を持つ神


 矜持の神は我が実の弟。その名はフォーガというが、この地の神々の輪を追われ、カレーの民に祀られなくなること一世紀におよぶ (第二巻 パラグラフ101)

 これはクアガの神の口から直々に語られる、フォーガについての説明だ。
 ところが……その一方で『タイタン』にはこうある。


 未開のカーカバードにある盗賊や殺し屋たちの下劣な都市、カーレのような場所では、フォーガは復讐の神で、尊大すぎる者に凄まじい天罰を下す神として描かれている。

 これらの記述は、一見矛盾しているように見える。しかし、タイタン世界における神々は信奉される土地によって名前が変わることを忘れてはいけない。フォーガもまた多くの名を持ち、カレーにおいては復讐をも司っていたのかもしれない。しかしその真なる名はクアガが語る通り矜持の神フォーガである……ということはないだろうか。つまり一昔前のカレーでは、フォーガは二つの顔をもち、そのそれぞれが別々の神として信仰されていたという想像だが……辻褄合わせとしては悪くないような気がする。

(5/27/23)

★ ライバル

 主人公のライバルといえば、誰になるだろうか?
 殺し屋フランカーに言わせれば、主人公こそは「我が好敵手(創土版では敵、原文はenemy)」らしいが、正直どうだろう。たしかに魔法使いで冒険を始めた場合、フランカーとの戦いは最も厳しい戦いとなる。ジャンのせいで腕っぷしに頼らざるを得ないからだ。だが、戦士であればフランカーはさほど手ごわい敵ではない。魔法使いであったとしても、ジャンさえいなければどうとでもなりそうだ。
 逆に魔術の腕ということならば……マンパンの大魔導(の影武者)と渡り合った実績は見逃せない。残念ながら負けはしたが、第四巻ラス前で繰り広げられる魔術戦はなかなかのものだった。

 しかし、ここで挙げたいのはこの両名ではない。
 第三巻のスロフの神殿でリブラの名を呼ばわればわかるのだが、女神は我らがアナランダーことを「忠実なる信者のうちでも一、二を争う」と評しているのだ。ここにその存在が垣間見れる「リブラが認める今一人の者」。それが誰かなのかは定かではないが、この人物こそが、主人公最大のライバルであろう。

 『タイタン』によればリブラはアナランドだけでなく、多くの小国の守護神である。また、冒険者の間でも信奉されているらしい。その中でもトップクラスに覚えがいいとは、我らが主人公殿も大したものだ。簡単に棄教するなんてことがおきないよう、よくよく注意して旅を続けようではないか。

 ちなみに創元訳だとリブラの評は「最も忠実なるしもべ」となっており、すでにライバルを蹴落としていることになっている。

(6/4/23)

★ Orcling

 南カレーで教師をやっている古老ロルタグ。彼の家へ向かう途中、生徒たちと出会うシーンがある。かなりやんちゃな10人の子供たちなのだが、彼らは young Orcling だという。ヤング並びにオークはわかりやすいが、~リングがついているわけで、ここは解釈が分かれるところとなっている。創元訳では「オークリングの子ども」とカタカナ語にされており、創土訳では「オークの子ども」、グループSNEによる『ソーサリー・キャンペーン』では「ハーフオークの子ども」だ。
 ~ling というのは簡単に言えば「~に属する(関係ある)人、物」といった意味合いで、例えばハーフリングなんかは「半分ぐらいの者」、要するに小さい種族を指す言葉となっている。また、~ling は「小さい、可愛い」を意味する指小辞でもある。つまり、 young Orcling の場合は後者で解釈すればまさしくオークの子どもとなり、前者ならばオークと関係のある、つまりハーフの子どもというわけだ。創元訳の「オークリング」に関しては独自の種族名と読める気がするが、その解釈でも名前からして何かしらオークとの関連があるのは想像に難くない。

 さて、ここで『タイタン』を紐解いてみれば、ゴブリンこそは世界中に住んでいると明記されているが、オークについてはそこまで強調はされていない。だがまあ様々な地で見られることは確かなようだ。しかし、カレーという都市の中となるとどうだろう? 「戦う、食う、飲むの三つだけが悦び」とまで書かれているオークに都市生活ができるものだろうか。第一この子どもたちは勉学に勤しんでいるし、その教師は人間のロルタグときている。こいつはどうにもオークらしからぬではないか。  

 では次にハーフオークであったと仮定してみよう。まず気になるのは、混血相手となる種族だ。普通に考えれば人間なのだろうが、ここタイタン世界、ことカーカバードにおいては該当する種にはスヴィンという呼称が既にある。同じカレーにスヴィンの鎖師も登場するため、10人の子らがスヴィンと書かれていない以上、人間とオークのハーフではない可能性が高い。『モンスター事典』にオークとトロールを交配させることで生まれるドラガーなる存在が記載されていることから、トロールとのハーフの線も無くなる。同じくホブゴブリンもこの世界ではオークとゴブリンの混血と考えられているようだ。となるとゴブリンとのハーフでもない。残った有力候補はエルフ、ドワーフ、ノームあたりだろうか。

 彼らの種族を明記せずに Orcling に留めているということは、まだ種として定着していない可能性もある。単に彼らの親のどちらかがオークであるという、つまりハーフとしては第一世代にあるのかもしれない。これならスヴィンとは言えないし、ドラガーやホブゴブリンでもない。先に挙げた有力候補だが、事実カレーには黒エルフもドワーフもノームも住んでいる。ドワーフとノームに至ってはそれぞれ居住区を持っているぐらいだ。子どもたちの親である可能性も十分あるだろう。なお、カレーには赤目も定住しているが、さすがにこれはなさそうだ。子供を作る前に焼き殺されてしまうに違いない。

(6/11/23)

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