『ソーサリー!』には「幸運のお守り」という名前のアイテムが複数存在する。効力もいろいろだが、「運試しの時にサイコロの値を1引くことができる」というタイプのものは、第一巻と第二巻でそれぞれ一つづつ入手することが可能だ。ところで第二巻のハンナのくじで手に入るお守りには、身につけている間効果は持続するが、お守りは2個持っていても2倍の効果は得られないので注意との但し書きがついている。つまり、お守りを既に入手していた場合、恩恵をダブルで得られるわけではないということなのだろう……そう考えていた。今までは。
そう。よくよく調べてみたところ第一巻で手に入るお守りは「Lucky Charm」であり、第二巻のそれは「Lucky Talisman」だったのだ。同じ効果ながら、明らかに別名のアイテム! 件の但し書きにおける「お守り」とはあくまでタリスマンで、チャームではない。ということは、この二つのお守りは同時に装備が可能となり、当然ながら運試し時のボーナスもそれぞれ効果を発揮――要するにマイナス2――すると考えられる。
これまで三度の邦訳において、そのいずれもが両者を「お守り」と訳している。こうなると当然、これらは併用が不可能と解釈せざるを得ないわけで……日本のアナランダーは少々ハードモードだったようだ。
【追記】
ちなみに効果が異なる「Lucky Talisman」は他にも存在する。カーレのノームと交換できるお守りだ。こいつは創土版では「護符」と訳されていたので併用可能だったが、英語版、創元版およびFFコレクション版ではどちらかの恩恵しか得ることができない。
また、フェネストラも「幸運のお守り」をくれるが、これは原文ではトロールのやつと同じ「Lucky Charm」だ。タリスマンではないが、創元版とFFコレクション版では翻訳を経て併用はできなくなっている。ちなみに創土版におけるアイテム名は「小さな金の蛇」だ。説明文で幸運守りという表現は出てくるが、まあこれは別名のアイテムだろう。幸いにもこのアイテムの効果は永続的なものではなく運点の回復なので、同時に着けられないからと言っても大きな不利にはならないのはラッキーであった。
【追追記】
整理して表にしてみました。
アイテム名 | 併用可不可 | 効果 | 入手元 | |
英語原本 | Lucky Talisman | ‐ | 運試しのとき、2D6-1で判定できる。 身につけている間効果は持続するが、お守りは2個持っていても2倍の効果は得られないので注意。 | 正直ハンナのキャビネットくじ(第二巻) |
創元 | 幸運のお守り | |||
創土 | 幸運のお守り | |||
FFコレクション | 幸運のお守り | |||
英語原本 | Lucky Charm | 〇 | 運試しのとき、2D6-1で判定できる。 | トロールの歩哨(第一巻) |
創元 | 幸運のお守り | × | ||
創土 | 幸運のお守り | × | ||
FFコレクション | 幸運のお守り | × | ||
英語原本 | Lucky Talisman | × | 運試しの結果が凶だった場合、運点を減らさなくてよい。 | 交換屋ノーム(第二巻) |
創元 | 幸運のお守り | × | ||
創土 | 護符 | 〇 | ||
FFコレクション | 幸運のお守り | × |
フェネストラからもらえる Lucky Charm についてですが、効果が一瞬のものであることから、お守りを一時付け替えすれば解決できるものと考えております。
幻術師レンフレンとの闘いでは、死霊に扮した奴を相手にしなければならない。当然最初はこれが偽物だとわかっていないので、対応力が問われることになる……武器選択の機会があるのだ。
ここで選べるのは「銀の武器」「普通の武器」「呪文」の三つであるが、問題となるのは「銀の武器」だ。実は、ここまでの行程で手に入る銀の武器は、銀の矢じりを持つ弓矢しかない。北カーレの市場で購入できるのだが、その際に矢は10本で、しかも消耗品との説明がある。弓矢で戦うことになる敵、死霊(こちらは本物)との戦いは特殊ルールが適応されるバトルだ。攻撃力で勝った場合には矢を放つことができるが、2D6で技術点以下を出さないと矢は外れてしまうという、ダメージを奪うのに二回のチェックが必要となる方式。気になる敵の体力点は8で、まあ、よほど狙いがマズかったのでない限り矢は残っているだろう。
では幻術師との戦いに話を戻そう。今回はさっき説明したような特殊戦闘のルールは開示されない。ノーマル戦闘だ。つまり、我らがアナランダーは矢を手に握って頑張るわけだ。想像するとちょっと楽しくなってしまうのは自分だけだろうか。弓もあるはずなのに何やっておるのか……もしかしたら、先の本物の死霊戦で学んだのかもしれない。普通に使ったら外す恐れがあるから、直接突き刺してやろうと。
さすがにこれはおかしいという判断がなされたのかどうかはわからないが、創元版では最初に挙げた選択肢が「銀の剣」となっている。確かにこれなら様になるだろうが、そんな武器は存在しない。選ぶことはできるが、チートになってしまうのは残念であった。
スナッタの森では素材拾いにいそしむことができるスポットがある。そこで手に入るのは五個の小さな玉石、一握りの草、先が六つに分かれた固い葉、二食ぶんの木の実と果実、石の粉となっている。なかなかに大漁であるが、魔法の触媒である玉石と石の粉、そして食料以外は特に使い道のないハズレアイテムである。
しかし英語原文ではさらにもう一つ、feathers from a yellow bird ――つまり、黄色い鳥の羽根を拾うことができるのだ。これもまたハズレアイテムだが、創土版およびFFコレクション版では手に入れることが可能。これでは創元版アナランダーだけが少々損をしているではないかと思いきや、実は一握りの草と先が六つに分かれた固い葉は、他のバージョンではくっついていて一つのアイテムとなっている。「先が六つに分かれた固い葉が一掴み」というわけだ。
差し引き0で、内容こそ違えどハズレの割合込みでアイテム数は一緒という、よくわからない調整がなされているのだ……偶然か、あるいは意図的だったのか。はてはて。