カレーの海賊船船長さんがかつて、ラムレ湖で襲われたという楯乙女。彼はヴィクの手助けにより、かろうじて助かったと語るが、この楯乙女とはいったいいかなる存在なのだろうか…？
楯乙女という名称から、どうやらそれがメスであろうことが想像できる。確かに世界各地に残る伝承を紐解いてみると、海や川などにすむ怪異は女性であることも多い。ライン河のローレライ、ギリシャ神話に見るセイレーン、北方のルサールカなどがその例である。ラムレ湖にたたずみ、船乗りを惑わす美しき妖女…。なかなかさまになる絵ではないか。
さて、とりあえず乙女はなんとなくわかったとしよう。では、楯とはなんだろうか？ そのまま文字通り楯だとするならば、楯で武装した乙女なのだろうか？ …先ほど怪異の話をしておきながらなんだが、操船に長けたアマゾネス系湖賊集団の可能性もでてきた。ラムレ湖を根城にし、カレーの海賊を相手に一歩も譲らずに戦う女傑集団という仮説は、充分アリな気がする。
…あらためて怪異説を進めるとしようか。こっちの可能性としては、楯と称されるような、何か堅固な防衛手段を持つ女怪といったところが想像できる。たとえば、巨大な貝殻を持っているとか。鎧ではなく、あくまで楯というのだから、巻貝ではなく、二枚貝か一枚貝だと思われる。間違っても硬い鱗をもつ人魚とかではないだろう。なんというか、かなりオリジナリティ溢れる造型をしているイメージになってしまったが、これはこれでアリだろう。
ちなみにこの楯乙女、原文ではShield Maiden、旧訳ではそのままシールド･メイドンであった。私の場合、カタカナで「～ドン」となると恐竜、怪獣の類のイメージにもなりがちなので、あえて巨大水棲獣という想像も残しておきたい。…ただし、メス限定で。
【追記】
FFコレクション版では「シールド・メイデン」と再びカタカナ化されました。アイアン・メイデンなどでおなじみの処女的メイデンなので、意味合い的にはすんなり入ってきますね。そして、怪獣のイメージはなくなりもうした……
第三巻クリア時に七匹の大蛇を何匹倒したかによって、様々なボーナスやペナルティを与えられるいくつかの項目。ここに著者ジャクソンの甘さが指摘されることがある。実際にゲームを読み進めるとわかるのだが、第三巻をクリアするためには、必ず風大蛇と時大蛇の二匹は倒さなければならず、すなわち「大蛇を一匹も倒していない」「大蛇を一匹しか倒していない」という２つの可能性は０であり、これらの場合のペナルティ説明項目が無駄になっているというわけである。
前置きが長くなってしまったが、今回はこの指摘に対抗を試みるだけ試みてみようと思う。つまり、「風大蛇と時大蛇の情報を知らず、彼らが七匹のうちの一匹だと気がつかないでクリアする可能性」の検証だ。
先ず最初に、アナランドからの手紙を検証してみよう。この手紙は、マンパンの密偵である七匹の大蛇が、主人公の情報を知らせにカーカバードを北上中であるという警告の内容となっている。項目３１４がその文面であるが、ここでは七大蛇の存在は明らかになるものの、その細かい情報は無い。手紙は隠者シャドラクに助けを求めるよう助言しており、隠者の口によって初めて七匹の詳細がわかるという仕組みになっている。つまり、隠者に会わずに進めば、件の二匹の大蛇をそれと認識することなくクリアできるのではないだろうか。
実践してみよう。手紙を手に入れた後、隠者に会わずに旅を続けることは可能だ。それからも情報をくれそうな人物を避けたり素通りしながら進めば、スナタ森まで進むことは容易である。ところで第三巻の旅をクリアするためには、魔女フェネストラに会わなければならない。イルクララ湖の渡し守を呼ぶための呼子が必要なのだ。だがこの魔女、困ったことに大蛇の情報を持っているときている。ここはうまく選択肢を選び、大蛇の話はせずに呼子だけを入手して先へ進もう。時大蛇を倒すために必要な巻物の情報はあえてスルーしなければならない。
いよいよイルクララ湖に到着。先ずは風大蛇の登場である。翼ある蛇の形の敵が現れるが、今のところ貴方はそれが七匹の大蛇の特徴であるとは知らないはずだ。剣を抜くなり、抜け殻を引き裂くなり、疾風の呪文で吹き飛ばすなり好きにしよう。文中には風大蛇という言葉が見え、どうやらこの怪物の名前とはわかるが、貴方にはそれが七匹の大蛇の一員であるという確証は無い。続く水大蛇は倒しても回避しても構わない。名前がわかったところで、やはりそれが七匹が一匹であるとは判らないからだ。ここまでの過程において、本文でも彼らが七匹の大蛇であるとは明記されていない。まずは前半戦通過といったところか。さぁ、沼地へと足を踏み入れよう。
クリアするためには、沼ゴブリンから呪文の巻物を得る必要がある。最後の関門、時大蛇を倒すためには、これが必要なのである。ゴブリンから巻物を得るための方法は二つある。話し合いで手に入れる方法と、戦って奪い取る方法だ。先ずは話し合う方法だが、これを行うためには通訳の呪文が必要である。しかし、沼ゴブリンとの話し合いの中で、これから戦う相手がマンパンの伝令の一匹であることが示唆されてしまうので、お奨めできない。クリアした時に、確証までとはいかなくとも、多分さっき倒したあれがそうなんだろうという疑惑が生まれてしまう。この検証はなるべく貴方を真っ白な状態でクリアさせることに意義があるのだ。となると、取るべき手段は強奪となる。
ゴブリンを倒し、巻物を得たところで問題が起きる。そう、フェネストラから情報を得ていない貴方には、その巻物が一体何なのかが判らないのだ。このままでは時大蛇になすすべも無くやられてしまい、クリアすることが不可能となる。しかし、貴方が戦士ならば話は別だ。項目２７７を見るとわかるが、貴方が戦士であった場合においてのみ、ここで助け舟が出されるのである。女の声で助言がなされ、この巻物が時大蛇に対抗する手段であるとの啓示がなされるのである。しかも、この助言では敵の名前が時大蛇であることは明かされるが、それが七匹の大蛇の一匹であることは明かされない。ゴブリンとの会話のように、マンパンの密偵であるとの情報もないのだ！
貴方は時大蛇を下し、ザメン低地へと至る。その間に本文において大蛇という表現こそ出るものの、ついに七匹の大蛇を倒したという表記は無い。大蛇という言葉をいかに解釈するかが問題となるが、実は第一巻に「大蛇」という怪物が存在することを踏まえ、問題ないとしよう。大蛇という言葉だけではそれがマンパンの密使かどうかはわからないだろう。
こうして貴方は七匹の大蛇を倒しておきながら、その確証を得ることなくバク地方を踏破することに成功したのだ。憶測だけでは七匹の大蛇を倒したと申請することはできない。つまり、問題となっているペナルティを負うことは充分ありえる展開であり、存在するだけで無用な項目は無いのだ。この指摘においては、ジャクソンの構成は至極まっとうなものであり、甘くもなんともないのである。
赤目のまぶた千人分でつくられたマント。着用の際には外皮を内側に向けること注意されたし。
…ちょっと装備は遠慮したいかもだな。というか絶対に装備したくないな。グロいよ。徹夜明けの脳みそはろくなことを思いつかない（汗
【追記】
このマント、ナイロックの店で売ってる銀貨（袋を焦がして逃げていく）をしまっておくのに有用かもしれない。
