実は2006年年末付けで、創土版第一巻の増刷がかかっています。早速(?)中身を見てみたよ!
…アリアンナとガザ・ムーンの口調が変わってる。混ざってないよ! ここは第一巻で残念だなぁと思ってたところだったので、この変更は素直に嬉しい。他にも細かく変わっている様子です。
【追記】(というか補足)
創土版『ソーサリー!』が世に出てからしばらくして、浅羽さんがお亡くなりになったことを知りました。『火吹山』、『バルサス』がなければゲームブックにはまることもなく、今の私は居なかったと思います。私の連れはゲームブックを読まないのですが、彼女もタニス・リーの小説で浅羽さんの訳が好きだったこともあり、二人して非常に残念と語り合ったのを覚えています。ご冥福をお祈りします。
創土社の酒井さんによれば、『ソーサリー!』復刊直後に訳の見直しを浅羽さんとなさっていたとのことらしく、今回の改変は、決して浅羽さんの意にそぐわぬものではないとのことです。
それは誰でしょう?
そう、風大蛇です。
七匹の大蛇は大魔法使いの伝令。様々な情報を携えて、広大なカーカバードを縦横無尽に飛び回るのがお仕事です。土大蛇は飛べないけれど、土の力を使って猛スピードで地上を走れそうなので、役に立ってます。
でも……彼はそうは行きません。だって、抜け殻に定期的に戻らないと死んでしまうんですから。はい。しかも数分おきですよ! さて、抜け殻に入って飛べばいいではないかと思われる方もいるかと思いますが、ダメなんです。彼の抜け殻というのは、渡し守ことテク・クラミン氏の懐に入ってしまうようなサイズです。ようはアレだ。七匹の大蛇特有の弱体化Ver.。あの小さい蛇。アレじゃないかと。流石にアレでは移動速度はたかだか知れている。まったく役に立たない。伝令より暗殺向きだよ、彼は。
むかーしむかし、一人のアナランド者がおったそうじゃ。
そいつはぁーおーきなおーきな巨人用の腰掛を背負っておったー。
じゃから、ビリタンティの人々は彼を「腰掛太郎」と呼んだんじゃ。
さて、腰掛太郎はカーカバードを北へ向かっておった。
どんな時でも太郎は腰掛を背負っておった。自分の力を見せ付けておったんじゃ。
カレーでは腰掛を背負ったまま見事にジグを踊りきったんじゃ。
だが、太郎は旅が終わる頃には自信をなくしとった。上には上がおったんじゃなー。
力なら誰にも負けないとおもっとった腰掛太郎は、行く先々で自分よりももっともっと力持ちに何人も出会ったんじゃ。
シャムタンティでは魔女ガザ・ムーンに痺れ薬を飲まされたうえ、軽々と家の裏まで運ばれてしもうた。
トレパニでも太郎は腰掛ごと籠にのせられ、穴へと下ろされた。
カレーでは殺人鬼ヴァンゴルンに家に引きずり込まれ――もちろん腰掛ごとじゃ。
バクランドに住むセントールは太郎をのせて颯爽と駆けた。むろん、腰掛ごとな。
マンパンで出会ったピーウィット・クルーは腰掛ごと太郎をつかみ、なんとマンパンからアナランドまで飛んで見せたんじゃ。
世の中は広いものよ。太郎はまさに井の中の蛙だったんじゃ……。