会いたくて
2
リューベック城に行かせた者達と合流したラケシス達は
イード砂漠に吹き荒れる砂嵐が止むのを待って出発する事になった。
イード砂漠を見つめているラケシスの所にフリッツがやって来た。
「ラケシス様、この近くに住む者の話では嵐は今日いっぱい止まないと言う事なので
出発は明日という事になりました」
「そう・・・・・」
「如何いたしました?お体の具合でも悪いのですか」
「いいえ大丈夫よ。少し考え事をしていたの。キュアン様とエスリン様の事・・・・」
「この砂漠でお亡くなりになられたのでしたね」
「ええ・・・せめて場所さえ分かれば弔いのお花でも捧げれるのに・・・・」
「そうかもしれませんが、今は一刻も早く砂漠を越えてレンスターへ」
「・・・・解っています」
ラケシスはそう言うとデルムットの眠る天幕へと入っていった。
次の日嵐は止み商隊はイード砂漠へと足を踏み入れた。
「フリッツ、デルムの事お願いね。今日はご機嫌ななめみたいなのよ」
「それでは姫様が、一緒にいらしたほうが良いのでは?」
「いいえ、私は先頭に行くわ。話しによると盗賊団は堂々と前から来るっていうから。
フリッツも気をつけてね。背後の指示も忘れないようにね」
「はい、承知しています」
砂漠はどうしても歩ける所が限られてしまうので、隊列が長くなってしまう。
フリッツとラケシスは傭兵達を前後、左右に振り分けていたのだ。
商隊を守るには少し少ない人数だが、敵も砂漠では動き辛いだろうと考えての事だった。
だがラケシス達の商隊を狙っていた者達は、普通の盗賊団ではなかった。
先頭を行くラケシスの傍に商隊の主人がやって来た。
「ラケシス様 もう少し言った所にオアシスがあります。
そこで休憩して少し強行軍ですがフィノーラ城まで行きましょう。
さすればもう少し傭兵を雇えますので姫様の負担も軽くなりますでしょう」
「そんな気を使わないで、無理をしなくても・・・・」
「いいえ、国が乱れると人の心もすさみます。
この前までなら品物を差し出せば命まではとらなかったのにこの頃は皆殺しとか。
命にはかえられません」
「そうね・・・・」
そこに突然、怒号が聞こえてきた。
「何?盗賊団!戦えない者は馬車の中に!」
ラケシスは叫ぶと切りかかってきた男を愛用の剣で刺した。
「グッ」
男はその一突きで息絶えたが、また新たな盗賊が切りかかって来る。
だがマスターナイトのラケシスの敵ではなかった。
次々と盗賊を倒していき、商隊の者に襲い掛かる盗賊は魔法で撃退した。
だが、ふと後ろの隊列を見ると分断されかかっていた。
「デルム、フリッツ!」
ラケシスは二人の名前を呼び馬を翻した。
なんとか隊列の真ん中辺りに来たとき、ラケシスはおぞましい殺気を感じた。
「何者!」
「ほう・・これは美しい。新しきロプトの戦士を産ませるのに丁度いい」
黒いローブをまとった男がニヤッと笑った。
「その姿!暗黒教団の魔道士か!」
「ええ、このイード砂漠は我らの聖地。
貴方がたは我らにとって、この上もないご馳走なのですよ」
「くっ何故、盗賊団を操るの?彼らとてロプト教団と知れば加担などしないはず」
「おやおや知らないのですか?グランベルのアルヴィス卿は我らの支持者なのですよ」
「そっそんな!!」
ラケシスは耳を疑った。
いくらシグルド達と敵対したとはいえ彼も聖戦士ファラの血を引く者。
ロブト教団に肩入れするとは思わなかったのだ。
「まさか!?グランベルは落ちたの・・・・?」
「クックッええ・・・もうすぐですよ。それゆえロブトウス様に忠誠を誓う者達が必要なのです。
幸いこの商隊は女性が多いようですね。男共は生贄にでもしましょうかね」
ラケシスはこの魔道士の話を聞くふりをしながらまわりを見た。
(暗黒魔道士は一人・・・・この男を倒せば盗賊達も怯むはずだわ)
ラケシスは前に進み出た。
「お願いです。商隊の者達をお助け下さい。私はどうなっても構いません」
「ほう・・・」
男はラケシスの態度に自尊心を煽られたのか、尊大な態度をとりながら
彼女に近づき触れようとした。
(いまだ!)
ラケシスはエルトシャンから受け取った、大地の剣を突き刺した。
「ぐわっ!おのれ!だましたな・・・・ヨツムンガンド!」
魔道士はラケシス目がけて魔法を放った。
「まだよ!」
大地の剣は魔道士の生気をすいラケシスの体を癒していく。
しかし、闇魔法の瘴気によってラケシスの体も蝕まれ始めた。
(このままでは共倒れだわ。なにかいい方法は・・・・)
そこに盗賊の一人が襲い掛かってきた。
「ラケシス様!」
「なめるな!」
商隊の主人の声でそれに気付いたラケシスは
振向きざまにもう一本の愛用の剣で切り捨てた。
それを見ていた魔道士は
「ひっ!助けてくれ、頼む」
と腰を抜かしたようだった。
「聖戦士ヘズルの血を引く者としてロプトウスに加担する者は許しません」
ラケシスはそう言って魔道士に止めをさした。
そして
「貴方達の雇い主は死んだ!このまま立ち去るなら命はとらない。
死にたくない者は立ち去りなさい」
ラケシスのこの言葉に大半の者は逃げて行ったがそれでも幾らかの者達は切りかかってくる。
(くっ 体がもつか・・・・)
ラケシスは苦戦を強いられたが、分断され右往左往していた傭兵達が戻ってきて
応戦してくれたので、程なく盗賊団は全滅した。
「くっ」
「ラケシス様、大丈夫ですか?」
今にも倒れそうなラケシスに一人の傭兵が声をかけた。
「悪いけど、フリッツに被害を調べて生き残ったもの達をここへ集めるよう伝えて・・・・」
ラケシスはそう言うと昏倒した。
***
数時間後目を覚ましたラケシスは荷馬車に寝かされていた。
「ラケシス様、気が付かれましたか?」
商隊の主人が心配そうに声をかける。
「ええ 今はどこに向かってるの?」
「フィノーラです。怪我人も多いですし、また襲われては・・・・」
「そうね。フリッツが指示してくれたのね。彼は近くいる?」
「ラケシス様・・・・」
主人は彼女の名前を言うと俯いた。
「どうしたの?」
「フリッツ殿はいらっしゃいません。後ろの方にいたもの達はほぼ全滅でした」
「えっ?」
ラケシスはその言葉を聞き真っ青になる。
「デルムは?あの子は無事?」
主人は痛ましそうに彼女を見て首を振った。
「うそ・・・そんな!」
彼女は起き上がろうとした。
「ラケシス様!ダメです。魔法の直撃を受けたのですよ」
「いいえ!私は戻ります。あの子がきっと泣いてるもの」
「無理です!私達も懸命にお探ししたのです。
ですがデルムット様のお姿もフリッツ殿の姿も在りませんでした」
「きっとオアシスに逃げたのよ。向かいに行かなきゃ」
「ダメです。あそこは盗賊団の住処になっていると、捕まえた盗賊の一人が言っていました」
「離して、それならなおさら行かなきゃ」
「ラケシス様・・・・・」
主人は泣きながら彼女を止めた。
「お諦めを・・・・お二人とももうお亡くなりに・・・・。
私はエルトシャン王の妹である貴方を死なせたくはありません。
このままフィノーラに行き、傷を癒してレンスターへ行きましょう」
「ああ・・・デルム・・・デルムット」
ラケシスは段々と意識の薄れゆくなかで愛しい我が子の名を呼んでいた。
(フィン・・・・助けて・・・・)
ラケシスは心の中でフィンに助けを求め意識を手放した。
****
(フィン・・・・・)
(ラケシス!?)
フィンは何故かラケシスの声が聞こえた気がして辺りを見回した。
「どうしたフィン?」
「いや・・・・・なんでもない。王がお待ちだ、早く行こう」
「ああ・・・」
グレイドは気遣わしげにフィンを見ながらも何も言わずにため息を小さくついた。
「なあ、これからの事って何だろうな」
「グランベルに討ってでる」
「フィン、それは無理だ兵力が違いすぎる。お前の気持ちは解らなくもないが
今は混乱しているこの国を一つにする事が重要だ」
「判っている、だが・・・・・」
フィンはそう言って、手をグッと握り締めた。爪が手のひらにくいこむほど。
二人は王の待つ部屋に着くと中から、王の怒鳴り声が聞こえた。
「それ以上は聞きたくない!グランヘルに降伏の使者をだと・・・・血迷ったか」
「王よ、グランベルは強大です。国民の血を無駄に流さないためにもご決断を」
「もうよい・・・・お前達、貴族の言い分は分かった。下がってくれ」
「分かりました。それではよくよくお考えを・・・・」
そう言って数人の貴族はフィン達には見向きもしないで部屋を後にした。
「自分の事しか考えていないみたいだな」
「ああ・・・・・」
フィンとグレイドは苦々しい思いで出て行く貴族達を見つめた。
「二人とも、何をしている早く部屋に入れ」
ドリアス将軍が二人に声を掛けた。
「はい 失礼します」
二人が入っていくとそこにはカルフ王とドリアス将軍
彼の娘であるセルフィナそれにリーフを抱いた王妃がいた。
「早速だが、お前達に新たな人事を申し渡す。まずグレイド」
「はい」
「お前は今日から私の率いるランスリッターの第一隊長として働いてもらう。
編成を大幅に変えたので大変だろうから、お前の隊の者を何人か連れてくるように」
「はい!承知いたしました
「それからフィン
「はい」
「お前にはリーフ王子の守役となって貰う」
「えっ!お待ち下さい。どうか自分も前線へ・・・・」
「不服だというのか?」
「いいえ!身に余る事と思っております。
ですが自分はまだ未熟者でリーフ様のお世話など勤まるはずがこざいません。
それに何時トラキアが攻めて来るか分かりません。
自分はこの手でキュアン様やエスリン様の仇を!!」
「だからですよ」
「王妃様?」
「フィン 貴方は今死に急いでいます。
あの子達は貴方にリーフを頼むと言って旅立った筈。
その為にも貴方には前線から離れて貰います」
「ですが自分は・・・・」
「リーフも貴方にとても懐いています。もしもの時は頼みます」
「・・・・」
「フィン これは命令だ。わかったな」
カルフ王はそう言うとリーフを王妃から抱き上げフィンの許へと連れてきた。
「アー」
リーフはフィンを見てニコニコと手を伸ばしてくる。
フィンはそんなリーフをそっと受け取った。
「承知いたしました。リーフ様は私が命を掛けてお守りいたします」
「頼んだぞ」
「はっ」
フィンはリーフを抱きしめながら王と王妃に頭を下げた。
その夜、中々眠れないフィンの部屋にグレイドがやってきた。
「やっぱり寝ていなかったか」
「ああ・・・王や王妃には承知したと言ったが、頭では解っていても心がそれに追いつかない」
「少し変わったな。旅に出る前のお前なら、思っていても口に出して言う事はなかった。
先程も冷静なお前にしては熱くなって多弁になっていたし、ドリアス様が驚いていたぞ」
グレイドはそう言って、持ってきた酒を注いだ。
「そうだな。あの戦いの中で、私は言わなければ伝わらない想いもあると知った。
それを教えてくれた人達は皆亡くなってしまった。だから私は・・・・」
「フィン その事をリーフ様にも教えて差し上げてくれ」
「グレイド?」
「ご両親を失くされた王子に、お二方の想いを伝えられるのはお前だけだ。
そしていつか・・・・王子を先頭にこのトラキア半島を一つに」
「そうか・・・・そうだな」
そう言ったフィンの顔には先程の憂いは無くなっていた。
一方、フィノーラに着いたラケシスは体が完治していないのに、城を飛び出していた。
(戻らなきゃ・・・・戻らなきゃ、待てってデルムット)
ラケシスは砂嵐の中を必死に進んでいた。
けれども嵐の所為で方向は分からなくなり遭難寸前になってしまっていた。
「こんな所で死ねない・・・・・私は死ねない!」
だが疲労と完治していない体は彼女の意志と反して動かなくなっていった。
数時間後、ラケシスは空腹に目を覚ました。
「おっ 気が付いたか。腹へっているだろう?ご馳走とはいかないが飯、出来てるぞ」
ラケシスは目を見開いた。彼女の目の前にはいるはずのない人物が笑っていた。
「べオウルフ?どうして貴方が此処に・・・・・此処は天界なの?」
「何を寝ぼけてる。ここはイード砂漠の中のオアシスだ。
びっくりしたぜ、嵐がやんでオアシスに戻ってみればお前さんが近くで砂に埋もれてるんだから」
「此処!オアシスなの?何処のオアシス?リューベックの近くなら・・・・」
「・・・・・悪いが違う。どっちかと言うとレンスターよりだ。何があった?」
「レンスター・・・・・ああっ」
ラケシスはうな垂れ泣き出していた。
べオウルフは彼女が落ち着くまでとその場をそっと離れていった。
「べオウルフ 近くにいるんでしょう?」
「落ち着いたか?」
「ええ ごめんなさい。もう大丈夫よ」
「そうか・・・・何があった?」
「レンスターに行こうとしていて、砂漠に入ってすぐロプト教団が操る盗賊達に襲われたの。
なんとか逃げてフィノーラまで辿り着いた。だけど私は戻らなければいけなかった」
「何処に?」
「襲われた所へ・・・・私は大事な・・・を置いてきてしまった。戻らなきゃ」
「無理だ。これからの季節は嵐が頻繁にあって砂漠は横断できない。
どんな物かは知らないが諦めろ!砂に埋もれてる。
それよりフィンの所に行ってやれあいつきっと、あんたも死んでると思ってるから喜ぶぞ」
「フィンは生きてるのね?」
「ああ、シグルドの話ではキュアン王子に今回は同行しなかったらしい」
「それならなおさら戻らなきゃ。私・・・このまま彼に会うことなどできない」
「どうしてだ?会いたいから危険な砂漠を越えたんだろ」
「だって!私はデルムをあの人の子供を砂漠の中に置いて・・・・」
「子供!?ラケシス・・・・まさか」
「彼にデルムットを会わせたかった。家族三人で暮らしたかったの・・・・。
でもおそわれて倒れてしまって、気が付いたら皆がもう無理だから諦めろって。
わたし・・・・あの子に何て謝れば」
「ラケシス・・・・」
べオウルフは慟哭する彼女をどうする事も出来ず見ていた。
「行くぞラケシス!」
「えっ?」
「レンスターに行くぞ、そして怒られろ」
「ベオウルフ・・・・」
彼はラケシスにそう言って、食事を温め直し始めるのだった。
食事が終わると二人はレンスターに向かって出発した。
****
数ヵ月後
「フィン様」
「ああ セルフィナ・・・・どうかしたのかい?」
フィンは王宮の庭のバラ園に立っていた。
もう花は散っていたがエスリンが大切に育てていたのだ。
「またキュアン様とエスリン様の事を考えていらしたのですか?」
「いや、違うよ・・・・」
「えっ!?でも・・・」
セルフィナは花の咲いていないバラ園でジッと立っているフィンをずっと見ていたのだ。
「それでは何を思い出していらしたの?とても辛そうなお顔でした」
「見ていたのか、バラを見るとね思い出すんだ。バラのようなあの方の事を・・・」
「その方は女の方?」
「ああ・・・」
「好きな方なのね」
「ああ だがもうこの世には・・・・」
「えっ あっごめんなさい。私・・・・」
セルフィナはフィンに謝ると走ってその場から立ち去った。
「私ったら・・・・失恋決定かな」
セルフィナはフィンに少し憧れていたがあのフィンの顔を見て諦める事に決めるのだった。
「どうしたんだ何かあったのか?」
突然後ろから、グレイドが声を掛けてきた。
「なんでもありません。グレイド様!女性の顔を覗き見るのは失礼です」
「すまない。泣いているみたいだったから・・・・」
「違います。ただちょっと寂しいなって」
「フィンか?」
「えっ?」
「あいつが時々、庭でボーっとしている姿を見てると俺もな・・・・」
「グレイド様も?」
「ああ それで聞いてみたら、シグルド軍に恋人がいたらしい。
戦いがおわったら迎に行くと約束したらしいが・・・・」
「それでは、バーハラの虐殺で・・・・」
「気が強い女性だから、きっとシグルド公子に付いて行っただろうと」
「どんな方だったのかしら、フィン様が惹かれたバラのような方・・・・」
「金色の髪のとても凛とした女性だそうだ」
「お聞きになったのですか?」
「ああ 戻って来た時に酔い潰してな」
「まあ」
セルフィナはクスクスと笑った。
それから二人は街に出る事にした。
「おいおいそんなに買い込んでヤケ食いか?いくらフィンに失恋したからって」
「違います!憧れていただけです。
グレイド様だってそんなにお酒をお買いになってどうするつもりですか?」
「アイツに飲ませるんだ。酔っ払ったアイツも面白いぞ」
「酷い親友ですこと」
二人がそんな事を話しながら歩いていると城門の方でざわめきが聞こえてきた。
「何かあったのかしら?」
「行くぞ」
グレイドはそう言うと走り出しセルフィナもそれに続いた。
「おい!何があった」
「グレイド様!行き倒れです。
騎士のように見えますのでグランベルから逃げているのなら入れないほうがいいかと・・・・」
「馬鹿をいうな!おい!大丈夫か?名前は?」
「うっここはレンスター城か?」
「ああ、そうだ」
「ふー頼む。ここにフィンがいるはずだ。彼に会いたい」
「フィンを?まさか貴公はシグルド軍の・・・」
「ああ、そうだ。ベオウルフという」
「そちらは?」
「ノディオンのエルトシャン王の妹君ラケシス王女だ。気を失っているから医者を」
「なっ!?この方がエルトシャン様の!おい、早くフィンを連れて来い!」
グレイドは兵にフィンを呼びに行かせた。
「よくここまでこれたものだ・・・・追っ手は凄かったろ?」
「まあな だが俺も王女もそこらの雑魚にはやられん。
それより食い物と飲み物が欲しい」
「ああ、すまんそうだな。酒でいいか?」
「おっ、いいね。ちょっとすきっ腹にはキツイが頂こう」
「あの甘いお菓子なら」
「ありがとよ、王女が気付いたらあげてくれ」
そこに連絡をうけたフィンがやって来た。
「ベオウルフ!生きていたのか!」
「よう、積もる話はあるがお前さんの大事な姫さんを連れてきたぜ」
「えっ!」
フィンはその言葉にベオウルフのそばでセルフィナに介抱されている人物を見つめた。
「ラケシス・・・・どうして君が・・・・此処に。ベオウルフ?」
「話は彼女から聞いてくれ。大丈夫だ疲労で眠っているだけだ」
フィンは彼のその言葉で彼女の姿をまじまじとみた。
そしてやつれたその姿にセルフィナから奪いとるように彼女を抱きしめて名を呼んだ。
「ラケシスよく無事で・・・よかった」
「うっうーん」
「ラケシス!気が付いた。よかった・・・・」
「ああ フィン フィン・・・会いたかった・・・わたし・・・」
「私もです。ラケシス・・・・」
そんな二人をセルフィナとグレイドは驚きの表情で見つめていた。
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