3月9日 夜の散歩

 プラサ・デ・アラメーダでスペイン各地のタパス(酒のつまみ)
が食べられるから、とマリに誘われ行ってみました。
まあ、夜の散歩のようなものです。

途中でブリヒーダの家に寄り、彼女と合流して旧市街に入ります。
旧市街は100mも歩くと、次から次に教会が現れます。
本当に教会の多いところだと思いました。

 

 次から次へと現れる教会


 プラサ・デ・アラメーダに着きましたが、アレ?
全国のタパスは見当たりません。
今日はもう他の場所に移ってしまっていました。
どうも日を間違ったようです。

そこで、タコ料理がメインのガリシア料理のテント小屋で一休み、
ビールを飲みます。
つまみは、茹でダコとガリシア風ハムです。

タコもハムも旨かったです。
タコは新鮮で柔らかく、
特にガリシア風ハムは、柔らかいけど歯ごたえがあり、
塩味もほどほどでとてもいい味でした。
説明しにくいのですが、いわゆるハムという感じの加工製品ではなく、
干しダラのような裂け具合で、肉の食感です。

ビールのつまみには最高ですね。

ブリヒーダが、古い笑い話を教えてくれました。
Nispero(ニスペロ/花梨)、Esparrago(エスパラゴ/アスパラガス
Cerveza(セルベッサ/ビール)
y(イ/そして)
Besa a una Vieja(ベサ・ア・ウナ・ビエハ/おばさんとのチュー)
Ni come,ni bebe,ni besa
(ニ・コメ、ニ・ベベ、ニ・ベサ/食べてよくない、飲んでよくない、キスしてよくない)

これで、彼女たちは大笑いするのですが、
私には意味がわかっても、ちっとも可笑しくないんですね。

この意味はというと、

花梨もアスパラガスも食べるところが少ない→「良くない」食べ物
ビールはワインに比べて、うまくないし体にも良くない→「良くない」飲み物
そして、
おばさんとのチュー→「良くない」キス
食べてよくない、飲んでよくない、キスしてよくない→全部良くない


全部「良くない」ものを並べているんですが、
可笑しくないでしょう?

息子と、こう話しました。
例えば、あまり例が良くないかも知れませんが、
「見ザル、言わザル、聞かザル」をスペインの人に
どう説明しますか?

No vea,No diga,No oiga(見ない、言わない、聞かない)
これ以上、訳しようがありません。

「何々しない」(・・・せざる)と「猿」(サル)が同じ発音であること、
それとサルのあの動作を組み合わせせないと、
面白さが理解できないわけです。

結局、笑い話が理解でき、本当に笑えるということは、
その国の文化や習慣、言語などが相当のレベルで
わからないとだめだ、ということなのですね。


そこを出て、またぶらぶら歩きます。
しばらく行くと、ある教会で、Semana Santa(セマナ・サンタ/聖週間)
のための写真撮影をやっていました。
教会内部は大変な人です。

聖週間は、最も重要な宗教行事の一つで、
セビリアのはとても規模が大きく有名だそうです。

Virgen de la Macarena(ビルヘン・デ・ラ・マカレーナ/聖母マリア)
を背景にして写真撮影をしています。
何のための撮影か訊きませんでしたのでわかりませんが。

このメンバーに選ばれるのは大変だそうです。
「金がかかる」というようなことを言っていました。
どうも、家柄と経済力が必要なようですね。

どこもそうですが、教会内部の装飾はとても豪華です。
この程度の大きさの教会でも、壁から天井まで凄い装飾です。

教会にも重要度と大きさによりランクがあって、
(1)Catedral (カテドラル/大聖堂)
(2)Iglesia   (イグレシア/教会 )
(3)Ermita  (エルミータ/礼拝堂)
などに分かれます。
ここはイグレシアですが、それでもこんな感じの素晴らしさです。
これが最高峰になると、先日見たセビリアの大聖堂(規模の大きさが凄い)
やレオンの大聖堂
(ステンドグラスの美しさが凄い)となります。






天井の装飾

中央の聖母マリアの左右に、
クリスト(Crist/イエス・キリスト)
Virgen de la Carmen(ビルヘン・デ・ラ・カルメン/聖女カルメン)
Crist de Paciencia(クリスト・デ・パシエンシア/十字架のキリスト)
Virgen de Guadalupe(ビルヘン・デ・グアダルーペ/聖女グアダルーペ:メキシコの守護神)
などが祀られています。


クリスト(Crist/イエス・キリスト)


Virgen de la Carmen(ビルヘン・デ・ラ・カルメン/聖女カルメン)


Crist de Paciencia(クリスト・デ・パシエンシア/十字架のキリスト)


Virgen de Guadalupe(ビルヘン・デ・グアダルーペ/聖女グアダルーペ)

スペインは勿論カトリックなのですが、
これをみてもわかるように、
熱狂的な聖母マリア信仰、いわばマリア教なんですね。

キリスト教のことについては、
日本人である私が何も言うことはでありませんが、
彼らの中で、宗教の占める割合はどの位なのでしょうか?



教会を出て、そろそろ帰る時間になったと思っていたら、ブリヒーダが、
近くにフラメンコの聴ける店があるから行こうと言い出しました。

そこはバルで、以前フラメンコ歌手だった人のやっている店でした。
Pepe Perez Peregil(ペペ・ペレス・ペルヒール)という名で、
自分のCDや本があります。

ブリヒーダが彼に、日本人のフラメンコファンを連れて来たから、
一曲唄って欲しい、と頼んでくれています。
私がカウンターに近づくと、彼が一節、二節唄ってくれました。
それはセビリアーナスでした。
ものすごい声量、美声!
もう頭の禿げたおじさんですよ。

店内の壁には、多くの有名人との写真が掛けられています。
中に、皇族の前で唄っている写真もありました。

無理やりCDと本にサインをしてもらって、
マリが買って私にプレゼントしてくれました。
家に着いたら12時を回ってました。

今日は
スペイン各地のタパスを食べる、ということだったのですが、
結局、ガリシアのタコ・ハムを食べ、
教会を見て、フラメンコを聴いて帰ってきたわけです。
どれが主目的か良くわからなくて、
教会での写真撮影と、フラメンコは偶然?思い付き?
だったのでしょうか。
よくわからないんですが、そんなことどうでもいいのです。
マリとブリヒーダは私に、「食べさせたい」「見せたい」「聴かせたい」
と思って連れて行ってくれたことに感謝します。
勿論彼女達も楽しんでいますが。