ラオスからこんにちは 4
2003年5月18日
お暑うございます。ラオスでは、最近ようやっと雨を含んだ雲が空に浮かぶようになり、朝晩は雨が降り出すようになりました。昨晩は、モゥー、モゥーというウシガエル?の低いおじさんの声のような大合唱が響いてきました。ニヤー、ミヤー、ナァーと、どうにも真似できない、小さなカエルの声も響いています。小さなネコガエル?(そんなのいないだろうけど)ではないだろうか?というような合唱です。一気に、景色が湿気をふくんできましたが、雨が降るためか、ずっとすごしやすくなりました。
さて、今、4人でパフォーマンスをしてまわっています。私は、素人なので、通訳兼、前座のストーリーテリング兼・・・・でくっついていますが、他の3人はプロの人形使い+パントマイマーです。トト子さん、クロちゃん、ちずこさんの3人です。みんな普段はそれぞれで、パファーマンスをしている人々ですが、今回は、トト子さんとクロちゃんが作った大道芸(なんとも説明がしがたいが、黒ビニール袋を張り合わせて作った、最後には3メートルにも伸びる巨大な生き物?やら人やらわからない物体が、さまざまに形を変え、風に乗って踊り、子どもたちと戯れる・・・・そして、最後には、やはり透明な色ビニールの身体に無愛想な顔をしたマリオネットがゾロゾロたくさん出てきて、(この人形たちが本当にシンプルなのに、本当に面白く、世にも奇妙におかしく動くのです)子どもたちもマリオネットの使い手となり、みんなで一緒に踊る・・・・というようなもので・・・筋立てはどうも説明できないのですが、ビニールという物が、想像を超えて景色の中で、風にのって動く創造力・・・と想像力は、ラオスの子どもたち、大人たちに、本当に鮮烈な印象となっていると思います。
この二人のパフォーマンスに引き続き、私が相も変わらず、「おおきなかぶ」「さんびきのやぎのがらがらどん」なんかをラオス語でお話し、そして、ちずこさんが、パントマイムでしめています。彼女はもうラオスでは長く活動していますので、彼女のパントマイムも、もう子どもたちを魅了するコツを得ています。
ラオスでは、勝手にストリートパフォーマンスなんかはできませんので、私たちは、国立図書館の子ども読書推進活動の一環として許可をもらい、巡回させてもらっています。
おととい昨日は、ビエンチャン県の東どなりの県、ボリカムサイ県の山奥に行きました。ここへは、ナムトゥン(川)、ナムヒンブン(川)で水力発電をしている、トゥン−ヒンブンパワー会社の招きで行ったのですが、10年前には1日かかった、でこぼこの赤土道がすっかり舗装されよくなって、4時間あまりで着きました。
景色は絶景で、ラオス版グランドキャニオンとはいいたくないけど、妖怪変化や山んばしか住めないようなゴツゴツした岩山が、峰をはてしなくつらねています。その景色の一角が、今は切り取られたように、水力発電のために整備された景色となっています。
その是非はよくわからないのでともかくとして、私たちは、その水力発電の会社(ラオスの持ち株60%、ノルウェー20%、タイ20%)の中の宿舎に泊めてもらったのですが、回りの掘っ建て小屋のような貧しい家々の風景とは大違いで、敷地の中はゴルフ場のように芝が敷きつめられ(実際、ゴルフ場がある)冷房完備の宿舎に入ると、回りの普通のラオスの村々の人々の生活とは隔絶、断絶されているものでした。その会社員の子弟用の私立学校で一回、私たちは公演をしたのですが、学校も冷房完備の、コンピューターが備え付けられた学校でした。こんな山奥で・・・・
その次の日、そこからさらに山奥へ、車を30分くら走らせた村で公演をしました。公演は元から野外公演なのですが、子どもたちは屋根と柱だけで壁のない建物の日陰に座っていました。この屋根と柱だけの建物が、この村の学校でした。この学校には壁すらないのでした。きっと、教科書もまともにないでしょう。開発が入ることで起きてくる格差・・・・そんなことを2日間のうちに見せられた気がしました。
これまでは、自分の村しか知らなかったので、どこもかしこも同じような生活をしていて・・・どこもかしこも電気などないし・・・みな自給自足で暮らしていた暮らし・・・が、一部に会社に勤めて、冷房の家に住み出す人が出てくると・・・また、テレビを年中見られる暮らし・・・というのが出てくると・・・・そうでない人々は、自分たちのそれまでの暮らしを「貧しい」暮らしだと思うようになってしまう・・・というような流れといいますか。それはどこにでも起きてはきているのですが、この外国資本の会社の存在が、異質にでかいので、あまりに、その違いが大きいのでした。
山の村の公演はすばらしく、最後には、子どもたちもおじさんも、おばあちゃんも、みんなマリオネットを持って楽しく踊りました。村長さんには「村のみんな、生涯ではじめて、サーオギープン(日本の娘さん)のやる公演を見て、本当にうれしかった」と言われ、私たち(私が一番年下という年齢構成の、やや高齢化したグループで、すでにみんな、おばさんの枠に足を踏み入れているのであるが・・・)は、サーオ(娘さん)と言われたことにすっかり気分をよくして帰ってきました。
明日から1週間ほど、世界遺産にも指定されている古都、ルアンパバンへ公演へ行きます。
では、みなさまお元気で。5月18日
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