イギリス滞在記 第2章〜生活編
18. 木のエスカレーター


ロンドンの地下鉄は1863年に初めて開通しました。イギリスが清国にアヘン戦争をしかけ、日本はまだ攘夷だ開国だと騒いでいた時代に既に建設が始まっていて、開通した当初は蒸気機関車が地下を走っていたわけです。
そんな古い歴史があるせいか設備もかなり古く、なかでもびっくりしたのはエスカレーターが木で出来ていること。(もっとも開業当初からエスカレーターがあったとは思えませんが)
ところが、僕がイギリスへ行く一年くらい前にキングスクロス駅でタバコの火が原因と思われる火災があり、30人もの犠牲者をだし、被害を大きくしたのがこの燃えやすい木製のエスカレーターだったそうです。そういえば時々、木と木がこすれるときのような、焦げ臭いにおいをかいだことが何度かあります。
このためでしょうか、あちこちの地下鉄の駅でエスカレーターの取替え工事が急ピッチで行われている真っ最中でした。

僕が利用していたセントジョーンズウッドの駅もある日突然工事が始まり、利用できなくなってしまいました、もともとホームへ通じる入り口が1つしかないので、工事となると駅自体が使えなくなってしまうわけです。
で代わりにバスを利用することになったのですが、バスだと渋滞したりするため、朝はそれまでよりも早めに家を出なくてはいけなくなりました。
僕の定期は地下鉄+バス共通で使えるので別段負担はありませんが、バスの場合、人が待っていれば無条件に止まってくれるバス停と、手を上げないと止まってくれないバス停とがあって初めは少々戸惑います。

結局セントジョーンズウッドの駅は僕が帰国するまでには工事が終わらず、それっきり使うことはなかったんですが、きっと今頃ロンドンっ子たちの間では・・・
「昔はエスカレーターが木で出来てたんだぞ!」
「えー、うっそー!」
なんていって、大人が子供に話したりしてるんでしょうかね?


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