イギリス滞在記 第2章〜生活編
3. 茨城なまりの英語


突然けたたましい電話のベルの音に目が覚めました、寝ボケた頭では最初ここがどこなのか分からず、でもベルは鳴り続けます、ようやく・・・
「そうだ、ここはロンドンで自分はひとりホテルの部屋にいるんだ」 という事を思い出し、
「えっ何か鳴ってる?電話?そうだ電話だ!一体誰から?(フロントからに決まっているのに)、なんて応えて出ればいいんだっけ?えーっと、とりあえずハローでいいかな?」
不安な気持ちを押さえつつ恐る恐る受話器を取りました、そして「ハロー?」と言うとフロントの女性がまず何かしゃべっていますが聞き取れたのは「ミスター・ホンダ」のみ、とりあえず「イエス!」と答えると外線に切り替わり、日本語になりました、E塚さんからでした。
「ごめんなさい、寝てました?そろそろ晩飯に行こうかと思って、30分後くらいに行きますから準備しといてくださいね。・・・」
会話が終わって電話を切り、窓の外を見るとすでに薄暗くなっています。でも準備といっても着いたときの服のままで寝てしまっていたので特に何もありません。
E塚さんがホテルに着いた頃にはもうすっかり暗くなっていました。それからE塚さんと連れ立って外出、E塚さんは今度は車ではなく、自宅から歩いて来たといいます。
「E塚さんの家はどの辺ですか」と聞くと
「この先にスイスコテージていう地下鉄の駅があって僕の家はそこから歩いて10分くらいかな。こんど遊びに来てください、それはそうと晩飯は何がいい?、今夜はご馳走してやれって会社が出してくれる事になってるんで、っていっても来たたばかりだからわからないか、まあ無難なところで言えばお勧めはチャイニーズってとこだけど、いい?」
「ええもちろんいいですよ、堅苦しいレストランなんかより箸で食べるほうが気が楽だし。」
「ロンドンはけっこうチャイニーズレストランが多いんですよ、まあ日本人にとっては口にあうしメニューも英語と漢字が併記されてるんで大体どんな料理か分かるしね。」
ということでE塚さんと僕はスイスコテージのとあるチャイニーズレストランに入りました。席に案内されメニューを見るとなるほど大体料理の見当はつきました。そしてまずビールで乾杯、E塚さんは
「ようこそロンドンへ、それらから仕事でもよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします・・・」

ちなみに今日は10月9日の日曜日、日本では翌10日は体育の日で祝日なのですが、ここはイギリス、さっそく明日から仕事です、なんだか損した気分。

それから少し仕事の話をして、ここから会社への行き方なんかも説明してもらいました。
職場は「ハマースミス」という所にあり、ここからだと地下鉄を乗り継いで40分位だとか。
明日の朝はとりあえずE塚さんと待ち合わせて一緒に行く事にしました。

それはそうと、E塚さんの日本語は少し訛りがあって、出身地を聞くとどうりで茨城とのこと、おまけに英語も決して流暢じゃなく、むしろ茨城なまりのまま英語にしているって感じです、そのうえなんでもかんでも”a”をつけて話します、例えば「I think a 〜 」とか「I go to a 〜」など、そこは”a”いらないでしょ?とか、そこは”a”じゃなくて”the”でしょ?と時々思うのですが、E塚さんは別段気にすることなく”a”で通します、でも不思議と現地では通じるらしく、「細かいことを気にするよりもどんどんしゃべったほうがいいんだ」、というE塚さんの持論に僕も納得、そのうちだんだん気にならなくなりました。
たぶんE塚さんにとっての”a”は”えーっと”の意味の”a”なんだなと後になって思いました。


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