「金魚草」     油彩  27×46p 2002

      真っ黒い大地の果て

      沼のほとりに咲く金魚草

      弱々しく くねる茎 細い葉

      その間から出る薄緑色の袋

      朝の風にゆらゆら揺れる

      ふと 袋は親指ほどの大きさの 人の頭になる

      眼をつむり 白い瞼を見せる

      子供か女か

      東の空の端の雲の切れ目から射す陽の光

      朝の到来を告げる

      その時 袋の一つが沼の水面に

      ボトリと落ちる