現役がダメならば卒業生が:

サークル休会の報に接した卒業生の有志は、ともかくも会の魂の象徴である「会旗」を預かることにしました。そして、いつの日にか、「会旗」ともども、「歴史文学ロマンの会」を早稲田の後輩たちに返してやろうではないか、という趣旨で「不死鳥会」(歴史文学ロマンの会を再建する有志の集い)を発足させました。その具体的な活動内容は、卒業生の有志が年1回、ゼミ活動と会報発行というサークルの基本行事を行い、それが軌道に乗ってから、現役の学生会員を勧誘し、学生たちが学内での活動を希望した時に、「歴史文学ロマンの会」を学生団体として再発足させる、というものです。自分たちがいた「居場所」がない寂しさ、挫折感はいかんともしがたいものがありました。しかし、そればかりではなく、学生時代に、イデオロギーや宗教などに束縛されずに、自由で独創的な視点から人間や国家・社会を見つめる目を養ったことは、大変貴重な経験であり、また混迷を続ける現代社会を生きる上でとても大切なことであると私たちは思っております。それはまた、明治15年(1882年)に母校が開学された際、創設者・大隈重信が、立憲改進党の党首でもある自身の立場をも鑑み、開校式に姿を見せずに、学問・教育を国家権力からもまた野党を含めたいかなる政治勢力からも独立させる、という理念にもあい通じるものがあるのではないかと憚りながらも愚考しております。また、学生時代は史跡といえば京都や鎌倉にばかり目がいき、母校周辺の史跡をあまりかえりみなかったという反省から、早稲田界隈の史跡を大切にしていこうということも「不死鳥会」の活動の一つにしていこうとも思います。早稲田精神の沈滞が言われてから幾久しく、特にここ数年間は、沈滞を通り越して、腐敗・堕落といっても過言ではないような出来事もありました。このような状況をほんの少しでも改善するささやかなお手伝いが出来るよう、願ってもおります

参考:不死鳥会憲章

1 不死鳥会は、現在、休会中の「早稲田大学・歴史文学ロマンの会」の不偏不党・自由自治の精神を継承し、歴史・文学をはじめ、広く芸術・人文・社会科学をともに学び、会員相互の切磋琢磨と親睦を深め、なおかつ情報交換をし、それぞれの生活、人生の糧となるべき活動を志向する。

2 上記の目的を達成せんがために、学習会、会報の発行、史跡探索、講演会などを行う

3 不死鳥会は歴史や文学を愛好する前途有望なる青年の育成のため、学生会員も募集する。そして、将来的に、早稲田大学内において、学生が自主的に活動を希望した時、学生団体としての「歴史文学ロマンの会」を再開させる。また、学生団体が再開した後も、それを支援し、従来の活動も継続する。

4 不死鳥会は、「歴史文学ロマンの会」及び早稲田大学に在籍経験のない者でも、参加資格を有する。