10,「まゆを探そう」



 冬になると落葉樹の枝に虫が作った「繭」を見かけることがあります。
 くりの木を裸にしてしまうクスサンの幼虫が作るまゆは網目状です。クスサンの幼虫(白い毛で被われている)からはテグス糸が取れるので釣りを楽しんだ経験を持っている人もあるでしょう。
 蚕に似た薄黄緑色の繭はヤママユという蛾の幼虫が作ったもので良質の絹糸がとれます。
 「かます形」をした緑色の繭は,ウスタビガの幼虫が作った繭です。かます形の繭の上には成虫が出る穴,下には雨水を出す穴があります。
 私は,以前あの「かます形」の繭をどのようにして作るのか不思議でたまらなくなり卵を見付け飼育したことがあります。立派に成長した幼虫がある日,口から糸を吹きながら繭を作り始めました。2日ほどかけて「かます形」の繭を完成しました。
 このように,虫たちは周囲から何ひとつ教わらなくてもその虫特有の繭を作ります。虫が持っている超能力を見ていると神様が作ったとしか思えません。超能力を備えた虫たちの一つひとつを理解し大切にすることがひいては自然を大切にし人を大切にすることにつながっていくと思うのです。
                                      中西 正一先生


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