12,「ホオジロ(ホオジロ科)」



 「先生,こんなにきれいな鳥が死んでいたんだよ。かわいそう」と3年生の女の子が手で温めながら持ってきました。見るとホオジロの雌でした。
 春を告げる鳥として有名で,この鳥が木の梢で鳴き始めると田畑の仕事が始まります。「一筆啓上,仕り候」とか「源平つつじ,茶つつじ」と鳴いているのだよ。と教えられたものです。言葉の意味は分からなくても小さいときに教えられたことは一生忘れるものではありません。
 ホオジロはスズメ目の仲間です。スズメ目にはスズメ・ミヤマホオジロ(冬鳥)・アオジ・カワラヒワ(群れを成し,飛ぶと黄色が目立つ)・ウソ(サクラの芽を食べる)等たくさんいます。害を及ぼすこともありますが,小さな雑草の実を食べてくれる益鳥でもあります。中国でスズメ退治大作戦を行ったところ雑草が繁茂し稲の収量が激減したという話もあります。害鳥といえども長い目・広い目でみれば全て私達人間の生活に役立つ益鳥なのです。
 「一筆啓上,仕り候」春を告げてくれる野鳥たちのさえずりに季節の移り変わりを感じ取れる生活を送りたいものです。
                                      中西 正一先生


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