16,「オオマツヨイグサ(月見草:ツキミソウ)」



 「ツキミソウは,月が出る頃になるとバサバサッという音を出して咲くんだよ」と先生が教えてくださいました。小学校4年生か5年生の頃だったと思います。「月を見ながら夜に咲く」という先生の話に私はある月夜の晩,ツキミソウのそばに座ってじっと咲くのをながめていました。ところが,いくら待っても咲いてくれません。そのうちに眠くなるし,蚊はさすしであきらめて帰ってしまいました。月の色と同じような美しい色をしたツキミソウを見る度に子どもの頃のツキミソウとのにらめっこを思い出します。でも,残念なことに音を出して咲く姿をまだ確かめたことはありません。この夢のような先生の話をいつの日か必ずこの目と耳で確かめたいと思っています。
 ところで,ツキミソウはマツヨイグサの仲間でいずれも外国から入ってきた帰化植物です。日本には約14種が帰化していると言われています。ツキミソウは本当の名前はオオマツヨイグサなのですがツキミソウの方がロマンチックで日本人の心がこめられているようで素敵に思います。明治時代に渡来して今では北海道から九州までの各地で普通に見ることができます。すっかり日本の顔となったツキミソウを眺めて見るのも楽しいものです。
                                       中西 正一 先生


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