17,「オオムラサキ(タテハチョウ科)」



 暑い夏の日のことでした。「めずらしいチョウを捕まえたので見て下さい。すぐに持って行きますから」という電話が入りました。どんなチョウだろうとドキドキしながら待っていると・・・透明なかごを大事に持って来られたのは安田の人でした。かごの中を見ると紫色の美しいチョウのためにとホタルブクロの花を入れられたお母さんの優しさに心を打たれました。チョウの名はオオムラサキでした。
 オオムラサキは日本が誇る大型タテハチョウで,国チョウに指定されています。成虫は年2回発生し6月後半から7月にかけて現れクヌギの樹液やよく熟した果実等に集まります。この辺りでは台所や便所等にも飛び込むことがあります。雄の方が美しい色彩を帯びますが,体は雌よりも小型です。また,雄は自分の縄張りに入ったチョウやカナブン,ときにはスズメまでも追いかけます。私はカラスを追い出したのを見たことがあります。
 幼虫はエノキの葉を食べます。ここにはエノキがあちらこちらに生えているのでオオムラサキを見ることができるでしょう。国チョウ・オオムラサキがいつまでも飛び交うようにエノキと自然を残したいものです。
                                       中西 正一 先生


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