20,「モズ(モズ科)」



モズのはやにえ作り
捕らえたカマキリを枝に刺している
 「もずが枯れ木で鳴いている おいらは藁をたたいてる・・・」この歌をご存じの方は多いことでしょう。満州事変頃にできた歌だと聞いています。
 今年も木のこずえなどでキィー,キィーと鋭く鳴くモズの声が聞こえて来る季節を迎えました。耳をつんざくようなモズの鳴き声には,何かしら郷愁を誘われるものです。
 モズには,他の野鳥に見られない特別の習性があります。それは,秋になると「カエル,コオロギ,バッタ,ムカデ」をユズのとげなどに刺す“はやにえ”という習性です。モズが“はやにえ”をするはっきりとした理由は分かっていませんが,縄張りの印ではないかと言われています。モズは,秋冬には雌雄単独で縄張りを持ち一羽ずつで生活しています。餌の少ない寒く厳しい冬を生き抜いていくために縄張りが必要だったのでしょう。モズはスズメよりやや大きい野鳥です。雄は,翼に白斑が目立ちますが雌にはこの白斑が見られません。時に私達が田畑を耕しているとモズが飛んで来て,電線等にとまりチュン,チュンと鳴きながら尾をくるん,くるんと回すことがあります。田畑の中から出てくる虫を捕りに来たのです。私達の身近な所にすみ,私達人間と共に生きているモズの姿を優しく見守ってやりたいものです。
                                       中西 正一 先生


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