爪立ったツチグリ 球状になったツチグリ |
夏から冬にかけて,山野,庭園,路傍などに皆さんがよく見かけられるのは,ホオズキの皮をむいだような状態のツチグリだと思います。 ツチグリは初め球状の形をしていますが,成長すると上部から下方に向かって6〜12個の裂片に裂けます。吸湿性の裂片は,湿気を含むと反捲して地上に爪立ったようになります。(写真左)それを人間や動物たちが踏むと球状の先端の穴から煙のようなものが飛び出します。その煙はツチグリの胞子です。ツチグリは誰かに踏んでもらって胞子を出し仲間を増やしていきます。 反対に乾燥すると裂片は上向きに巻き球状になります。(写真右)風が吹くと地上をころころと転がり,そこら中に胞子をばらまき仲間を増やしていきます。 湿ったら爪立ち,乾いたら円くなるツチグリは,湿度計の役目をしています。 湿ったり乾いたりで自由に形を変えて仲間を増やしていくツチグリの姿を見ていると「自然は実にうまくできているなあ」と感心させられてしまいます。これら自然物の現象からヒントを得て人間生活に役立つ物も多く作られています。自然をよく観察し面白いおもちゃや飾りそして器具を作ってみませんか。 中西 正一 先生 |