26,「ヤマブキソウ(ケシ科)」


 ヤマブキに似た草という意味からヤマブキソウと名付けられました。黄色の美しい花でヤマブキにそっくりですが,よく観察してみると花弁の数が違っています。ヤマブキの花弁が5枚あるのに対してヤマブキソウの花弁は4枚です。
 すっかり有名になったカタクリが咲き終わった頃,谷間を黄色のジュータンに変えていきます。地域の子どもたちが研究したブチサンショウウオの生息する谷では,一面にヤマブキソウが咲き誇ります。この美しい花に囲まれながら研究をした子どもたちはブチサンショウウオと共に忘れ得ぬ花として心に刻んでいることでしょう。子どもたちにはたとえ花の名前はわからなくても「きれいだなあ。何という花だろう」と顔を近づけてみたり嗅いでみたりする感動体験が大切です。
 ヤマブキソウは,石灰岩の岩山がそそり立つ谷間でよく出会えます。種を採取して少し湿り気のある庭先にまいておくと,ヤマブキソウの花を咲かせることができます。
 近年,野草ブームで谷間の貴重な花が掘り取られていますが,花を取らずに種を採取して育てて欲しいものです。野草はどこにでも生えるものではありません。美しく咲くための環境を選びます。花を守るのも育てるのも私たち人間の考え方一つにかかっています。
                                       中西 正一 先生


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