33,「マムシグサ(サトイモ科)」


 この辺りでヤマゴンニャクと呼ばれているのがマムシグサです。茎に紫褐色のまだらがあってマムシに似ています。秋になると赤く熟した実に出会うことがあります。子どもの頃,この実を採って便所に投げ入れた経験を持たれている人も多いことでしょう。ウジムシを殺すのだからどんな味がするのだろうとなめてみたことがあります。とっても辛い味がしました。ムカゴと間違えてコンニャクを食べた経験もあります。口の中はパニックでした。家の台所に飛び込むと水でうがいをしたり,塩水や色々な物でうがいをしましたが治りません。やっとの思いで考えついたのがソーダでした。「そうだ。ソーダだった」という訳です。
 青年になったある日のことでした。母が食卓に私の好物であるミツバのおひたしを出してくれました。早速食べると辛いような刺すような刺激が口の中に広がりました。「母さん,何か変な物を入れなかったか?ひょっとするとマムシグサを入れたんじゃない」と聞くと「そんな物入れるはずがないよ」と応えます。私は,子どもの頃に食べたことのあるコンニャクやマムシグサの味を思い出していました。私は,急いで母が採取した場所に走りました。案の定,ミツバが群生した中に小さなマムシグサが混じっていました。母はミツバをつんだ時,間違ってマムシグサもつんでいたのでした。このように,体を通して学んだことは色々な場面で役立つものです。子ども達にも色々な体験をさせたいものです。
                                       中西 正一 先生

マムシグサ
(「野草と共に」より)


戻る       次へ