35,「キイロスズメバチ(スズメバチ科)」



 キイロスズメバチは,家の軒下などに巣を作るハチとして知られています。このハチに刺された経験をお持ちの人も多いことでしょう。私は青年になるまで巣の中でハチは越冬すると思っていました。ある冬のことでした。山仕事をしていて腐った木の株の中で越冬しているハチを見つけたのです。また,クヌギの穴の中で越冬しているハチも見つけました。その時,初めてキイロスズメバチは巣の中で越冬するのではなく,山のあちらこちらで数匹ずつ越冬することを知りました。だからキイロスズメバチの巣を採ろうと思えば冬の間が最適です。巣の接着部分に糸がねを回し手前にゆっくりと引けば見事に採取することができます。
 ところで,キイロスズメバチの巣作りについて不思議に思うことはありませんか。初めは小さかった巣がだんだん大きくなっていきます。風船のように膨らむのならわかるのですが膨らんだりはしないので不思議です。また,キイロスズメバチは無数の幼虫を巣から連れ出し屋根一面にばらまいて殺してしまうことがあります。このことも不思議です。
 キイロスズメバチよりも大きい我が国最大のハチがオオスズメバチです。このハチは大木の穴や地中に巣作りをします。刺されると大変ですので注意しましょう。スズメバチの仲間は昆虫の成虫か幼虫かを餌にしています。害虫を採ってくれる益虫ですから危害を与えない限りは大事にしてやりたいものです。
                                       中西 正一 先生


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