37,「スハマソウ(キンポウゲ科)」



 スハマソウは雪割草との名もある代表的な早春の野草です。帝釈一帯に見られる花ですが家々の庭先にも植えられています。三つ葉に似た葉と花はとても愛らしく思わずたたずんで見入ってしまいます。
 帝釈一帯に咲くスハマソウは大半が白花ですが,なぜかピンクや赤色や紅紫色などの花に出会うことがあります。よくよく観察してみると白花のスハマソウの葉の色は緑色で,ピンク色のスハマソウの葉は少し赤みがかっています。
 早春に咲く野草にはキンポウゲ科の仲間が多いようです。スハマソウユキワリイチゲ・フクジュソウ・セツブンソウ・ミスミソウ・リョウキンカ・イチリンソウ・ニリンソウなどで,どれをとってみても可憐な花ばかりです。
 崖の多い谷間は田畑も作れないし植林も難しい場所です。私たち人間にほとんど利益をもたらしてくれません。でも,自然に自生する美しい野草の宝庫でもあります。厳しい環境の中で花の命を懸命に咲く花に出会うとき私たち人間の心は和み心が耕されます。
 まだ寒さの残る早春には花に集まる虫たちも決して多くはありません。少ない虫たちを招くために,これらの花は懸命に可愛く美しく咲くのでしょう。
                                       中西 正一 先生

    
フクジュソウ        ユキワリイチゲ         ミスミソウ
(「野草と共に」より)


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