38,「イチリンソウとニリンソウ(キンポウゲ科)」



ニリンソウ
 春,町の谷間を彩る代表的な野草です。どちらもキンポウゲ科の野草で茎の先に花を一輪付けることからイチリンソウ,二輪付けるからニリンソウと名付けられました。でも,イチリンソウなのに二輪つけたものもありますし,ニリンソウなのに三輪,四輪とつけたものもあります。菊のように花弁が多いイチリンソウを見つけた人もいます。菊ザキイチリンソウと呼ばれています。
 イチリンソウの方が花の命が長いようです。咲いては閉じ,閉じては咲いているうちに花もだんだん大きくなっていきます。そして,白色からピンクがかった色にかわっていく花もあります。
 イチリンソウに比べ,ニリンソウの花の命は短いようです。花もイチリンソウより小さく,イチリンソウよりも湿り気の多いところを好むようです。
 花は誰が見ていなくても花の命を懸命に咲いていきます。春の到来と共に咲き始め初夏になると地上部は枯れて長い眠りにつきます。
 このような生活史を持つ野草のことをスプリングエフェメラル(春のはかない命の草)と呼んでいます。一年のほとんどを地下で生き,美しい花を咲かせようと力を貯え,日本の春のひとときを美しく咲く春の花の生き方に心を動かされます。
                                       中西 正一 先生


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