41,「オカトラノオ(サクラソウ科)」



 今月はだれもがご存じのオカトラノオを紹介しましょう。
 オカトラノオは,山地や原野の日当たりのよい場所に普通にみられる多年草です。多数の白い小さな花を密につける花をよく見ていると,その可愛さに引かれて,つい,摘み採ってみたくなります。
 この花は,丘によく見られ,花穂が獣の尾に似ていることからオカトラノオと名付けられました。オカトラノオが繁殖しているところをよく見ると面白いことに気付きます。花穂が同じ向きに傾いているということです。大抵の場合,南に傾いていることが多いようです。花穂の傾きによって方角を知ることができるのです。
 この辺りには,トラノオと名付けられた野草が3種あります。みなさんご存じですか。オカトラノオ・ヌマトラノオ・ヤマトラノオの3種です。ヌマトラノオ(サクラソウ科)は,沼地に自生していましたが,今はなくなってしまいました。でも,休耕田のところどころで見ることができます。オカトラノオと違って,白い花穂が直立したかわいい花です。
 また,ヤマトラノオ(ごまのはぐさ科)も自生していましたが,今では絶滅してしまいました。でも,種を採取して増やしていますのでご希望の方には苗を差し上げます。紫色の可憐な花です。水揚げもよく,生け花に最適です。
                                       中西 正一 先生


オカトラノオ
(「野草と共に」より)


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