42,「ヤチシャジン(キキョウ科)」



 ヤチシャジンは「レッドデータブック」の中で絶滅危惧種となっています。キキョウを小さくしたような可憐な花で,その昔,この地区にも自生していたという記述が残されています。
 この花は,岐阜・愛知・岡山・広島県に限って,湿地に飛び離れて分布している大陸系の多年草です。大陸と日本列島の関連を示す貴重な植物です。かつて広島大学の関 太郎教授をこの花のところに案内したことがあります。関先生は,わずかに生き残っている姿に出会われ感動され保護の重要性を一生懸命に話されました。
 昔は,田畑の手入れは勿論のこと,しが刈りや山そうじなど適度に人間の手が加えられていたので,湿地等も守られていました。ところが,過疎化が進んでいく中で自然環境も荒れてきています。〜「自然は人を育て人間は自然を守る」〜自然には優しい人の手が必要なのですね。
 キキョウ科の仲間には,ヤチシャジンの他にキキョウ・サワギキョウ・シデシャジン・ソバナ等があります。いずれも夏から秋を彩る紫色の美しい花として愛されています。サワギキョウは有毒植物なので食べないように気を付けましょう。ソバナもこの町の処所で見かけることができます。紫色のこれらの花はリトマス紙の青リトマス試験紙の働きをしますので酸性の液を付けると赤く変色します。アリが出す液を花に付けるなどして子ども達に教えてやりましょう。
 
                                       中西 正一 先生


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