43,「シュウメイギク(キンポウゲ科)」



 シュウメイギクは漢字で秋明菊と書きます。菊と言うのでキク科の植物だと思いがちですが,キンポウゲ科の仲間です。シュウメイギクはこの辺りの限られた場所で見ることができます。特に下帝釈の川原には一面にシュウメイギクが咲き見事です。いつの日か下帝釈に入られて見られてはどうでしょうか。真っ青な秋空とピンク色の花が重なりとても美しく見えます。また,一雨ごとに寒さの加わっていく秋雨に打たれる姿にも心を引かれます。
 シュウメイギクは,花は咲いても実を結びません。おしべ,めしべとも完備していないので実を結ばないのです。ですから分布は点在し連続していることはありません。株で増やすしかないので大切にしたいものです。
 隣の村のシュウメイギクは石灰岩の岩肌に生えていますし,ここのシュウメイギクも石灰質の石垣に生えています。下帝釈の川原は石灰岩の多い川原です。これから考えるとシュウメイギクは石灰岩と深いつながりがあるようです。
 花には,その花に適した環境があります。湿地に生える花は湿原に咲き,草地に生える花は草原に咲きます。環境を選ぶ花たちは環境が変わると生きていくことができません。とてもおもしろく不思議ですね。
 
                                       中西 正一 先生


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