49,「ナライガフシ(虫こぶ)」



 写真のような物を見られたことはありませんか。ナラの若枝に付いています。
 子どもの頃から「何だろう。普通ならドングリが付くはずなのに不思議だなあ」と思っていました。でも,中を割って見ることはしませんでした。
 大人になり植物に関心を持つようになったある日,この虫こぶを割って見ました。するとどうでしょう。中から小さな虫が出てきたではありませんか。
 しかし,その時には,その虫が何になるのかは分かりませんでした。数年前,偶然にも科学雑誌でこの虫のことを知ることができました。ナライガフシです。ナライガフシは,実は小さなハチが作る虫こぶの一種です。ナラの若枝に見られる栗のいが状の虫こぶがそれです。ナラゴウと呼ばれていますが,皆さんはどのように呼ばれますか。
 この小さなハチがナラの花の咲く頃,雌花に卵を産み付けます。ふ化した幼虫はある液を分泌します。そのために果実になる部分が異常な発達をして,このような虫こぶになるのです。ハチは,いが状の物に守られながら幼虫,さなぎとなり,翌年5月にはハチとなって飛び立っていくのです。ハチの持つ不思議な力によりドングリになる筈の物がこのような奇妙な形にさせられたのです。
                                    中西 正一 先生


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