50,「レンゲツツジ」



 大学生になった5月のある日のことでした。山梨県にある大菩薩峠に登山しました。海抜2000mに達した時でした。目の前に見慣れたツツジが咲いています。「あっ,カッポウバナだ」と直感しました。
 牧野富太郎博士のような先生に恐る恐る「これは,カッポウバナですか」と尋ねると,「君の地方ではそう言うのかね。この花は,実はレンゲツツジと言うんだよ」と教えて下さいました。その時,私は初めてレンゲツツジという呼び名を知ったのです。
 子どもの頃には,我が家の回りの山々の至るところに咲き誇っていたレンゲツツジも今はほとんど見ることができなくなりました。レンゲツツジが咲いていた山が農地に変わり,植林地に変わりました。また,しばかりをしたり牛を放牧したりする山も減りました。
 大人になるまで私は,レンゲツツジはこの辺り一帯にしかないと思っていました。しかし,小学校に赴任した時,その近くの山土手に咲いているレンゲツツジを見て驚きました。また,その土地をとても身近に感じました。
 レンゲツツジは日本の高原に生えるツツジです。朱紅色の花や濃朱紅色の花や帯紅黄色の花や黄色の花があります。現在,レンゲツツジが町花に指定され大事にされていることを大変嬉しく思います。
 た か が 花  さ れ ど 花 ・ ・ ・ 花のように魅力ある町でありたいものです。
                                  中西 正一 先生


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