54,「アカスジキンカメムシ(カメムシ科)」



 このあたりではカメムシと言わずにハトウジと呼ばれています。農作物の害虫として,また,悪臭を発する虫として嫌がられています。
 カメムシのなかまは,陸上にすむ陸生カメムシ類,水面または水辺の湿地にすむ両生カメムシ類,水の中にすむ水生カメムシ類の3つに分けられます。
 みなさんに一番嫌がられるのはクサギカメムシです。晩秋になると冬眠のために家の中にたくさん入ってきます。カメムシの中でも一番臭いカメムシとして有名です。でも,このカメムシからミミカキダケという冬中夏草が生えたのを採取したことがあるのですよ。
 今回紹介するカメムシは,アカスジキンカメムシというカメムシです。幼虫の時には白黒の模様をしていますが,脱皮をして成虫になると写真のように大変美しいカメムシに変身します。友達が脱皮をした殻と美しく変身した成虫をくれました。アカスジキンカメムシのようにカメムシのなかまには大変美しいものも少なくありません。この近くに生息するニシキキンカメムシはあまりにも有名で,その名のごとく錦色に輝く美しいカメムシです。幼虫から成虫になる時に脱皮した殻までもが美しく輝いています。人から嫌がられる生き物にもそれぞれの美しさがあるものです。自然の美は正に神秘の世界です。
                                     中西 正一 先生


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