55,「ハコネサンショウウオ(サンショウウオ科)」



 この町には,オオサンショウウオ(特別天然記念物)とブチサンショウウオが生息しています。そして,隣の町と接する所にはハコネサンショウウオという大変珍しいサンショウウオが生息しています。
 このハコネサンショウウオは冷たい流水を好む小型サンショウウオですが,成体(親)になると約20pになり頭から背中,尾にかけて赤い色に変わります。このハコネサンショウウオは県が地域固体群として希少種に選定しています。
 写真のハコネサンショウウオは,3匹とも幼生(子ども)です。実物大だと思ってご覧ください。写真でおわかりのように頭と胴の境に鰓(えら)が見えます。また,前脚の4本の指先と後脚の5本の指先には黒いかぎ状の爪が見えます。鰓は水中で生活するために必要です。また,指先のかぎ状の爪は急流に流されないように物につかまるために必要です。
 ところが,4年後の7月〜8月,親になって上陸する時にはこの爪が落ちてしまいます。そして,翌年の5月〜6月の繁殖期には水中に入るため雌雄共に再び爪が生えてくるという面白い特徴を持っています。
 ハコネサンショウウオは,玄武岩が連なる岩海と石の底を流れる冷水に守られ生き続けてきましたが絶滅寸前となっています。
                                      中西 正一 先生


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