58,「ブチサンショウウオ(サンショウウオ科)」



 鈴鹿山脈以西の本州,四国,九州の山地に分布する流水性の小型サンショウウオとして町内の各地の渓流に見ることができます。
 この辺りでは「カクウオ」とも呼ばれて昔から親しまれていますが卵のうを見たという人はほとんどいません。
 このブチサンショウウオは3月下旬から5月下旬にかけて成熟した雌雄が小渓谷の源流近くの産卵場に集まり,雌は石の裏や伏流水の湧き出るくぼみなどに一対の卵のうを産み付けます。雌は卵を産み終えると林に帰っていきますが,雄は次の雌を待って繁殖期間中そこに留まったり卵のうを守ったりします。
 20〜30日でふ化した幼生は六月下旬ごろから渓流の水たまり等に現われ水中の小動物を食べて成長していきます。時には共食いもします。そして,9月上旬になると変態して上陸していきます。
 町内の小渓流を調査して分かってきたことがあります。それは,プチサンショウウオが生活廃水の流入しない渓流にしか生息していないことから水質汚染を見るバロメーターになっているということです。
 写真に見られる卵のうは六対も見られる大変めずらしいものです。

                                  中西 正一 先生


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