6,「タンポポ戦争」



 タンポポは,約22種もあります。その中でもこの辺りにはシロバナタンポポ・カンサイタンポポ・セイヨウタンポポがあります。私達が育った戦後はシロバナタンポポがほとんどだったのですが,今はセイヨウタンポポがそのほとんどを占めています。特に往来の激しい道路の周辺ではセイヨウタンポポが独占しています。
 このタンポポは,明治以降日本に入ってきた帰化植物です。都市を中心に分布地域を広げ,日本在来のシロバナタンポポ等がだんだんと姿を消しています。まるで,両者の間には人間の場合と同様,相手を駆逐しあうような戦争が起きていると考えられます。
 都市化とくに乾燥に耐える力が強い,踏みつけに強い,アルカリ性・チッ素土壌に強いセイヨウタンポポがはびこり日本在来種に勝利しているのです。
 植物に見られる荒廃ぶりは,私達日本人の生活・生き方・考え方にも表れているのではないでしょうか。不易と流行という言葉がありますが「時代が変わっても変えてはならない不易について真剣に考えなさいね」と日本在来種のシロバナタンポポが山路で,農家の見える土手で呼びかけているようです。
                                      中西 正一先生


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