7,「ヤマトラノオ」



まぼろしの花「ヤマトラノオ」
 ヤマトラノオは,その名のごとく山に咲くトラの尾のような形をした花ということです。誰もが知っているオカトラノオはさくらそう科の白い花ですが「ヤマトラノオ」は紫色の可憐な花です。
 この地域に唯一咲いていたこの花も今はその姿を見ることができません。観光開発とともにその姿を消したのです。この花が咲いていた辺りは,かつてはススキの草原にレンゲツツジ(かっぽう花)・ウメバチソウ・マツムシソウが咲く草原でした。その草原にヤマトラノオやオキナグサやスズサイコ等の希少種がそっと咲いていました。開発が進む中にあって私はヤマトラノオ等の種を採取し栽培してみました。これは見事に成功して増やすことができました。町内小学校5年生のキャンプ活動等の機会に子どもたちに苗を植えてもらうこともしているのですが,いつの間にか抜き去られてしまいます。私たちの心の花であるウメバチソウやマツムシソウが無くなってしまうのも時間の問題でしょう。観光開発によって得るものもあれば失うものも大きいということを知らなくてはならないと思います。もし,ヤマトラノオの苗をお求めの方はご一報くだされば差し上げたいと思います。
                                      中西 正一先生


イブキトラノオ(「野草と共に」より)


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