8,「ニホンマムシ(マムシ科)」



U字管の水たまりにいたニホンマムシ
 マムシに噛まれやすい季節を迎えました。マムシは卵胎生で8〜10月初めにかけて2〜13匹の幼蛇(子ヘビ)を産みます。7〜12年は生きるといわれヘビの中では長生きの方です。毒蛇として知られているマムシですが,性質はおとなしく積極的に人を襲うことはありません。しかし,噛まれた場合は命にかかわることもあるので要注意です。多くのヘビは卵を産みますが,マムシは親と同じ形をした子どもを産みます。私たちは子どもの頃から「親の腹を噛み切って出るとか,口から出てくるのでやたらと噛みついて牙を折る」等と教えられました。しかし,実際は総排出口出産します。マムシの雌を捕らえて飼育してみるとよく分かりますよ。
 ところで,この辺りに生息する毒蛇にはマムシばかりでなくヤマカガシもいます。かなり強い毒で内蔵出血,脳内出血等を起こして死亡した例もあります。
 ヘビ毒には大きく分けて神経毒,出血毒,筋肉毒があります。マムシやヤマカガシの毒は出血毒が主です。毒蛇の危険度はそのヘビの持っている毒の強さよりも噛まれて注入される毒の量で決まります。皆さんもご存じのようにマムシは薬にもなります。毒を薬にかえてしまう人間の知恵にはいつも感心させられます。
                                      中西 正一先生


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