60,「クマガイソウ」(ラン科)



 ラン科の仲間はどの花を見ても美しく奇観を呈しています。それだけに私たちの注目の的となり,乱獲を余儀なくされてきました。このクマガイソウも例にもれず乱獲され,自然の中で見かけることはもうできなくなりました。
 クマガイソウは袋形の唇弁が熊谷直実(くまがい・なおざね)の背負った母衣(ほろ)に似ていることから名付けられました。杉林の下とか時には竹林中に見ることができます。扇のように美しい緑に開いた葉に見守られるように1個の花を付けます。この独特の花に出会うといったいこれは何だろうとわが目を疑ってしまいます。今は愛好家の庭などで静かに咲いています。
 クマガイソウは日本にしか生えない日本特産種です。多年草で根茎が地中を横にはい増えていきますので,環境さえ整えば増やすことができます。町内でクマガイソウを育てている方は是非大事に育て増やして欲しいと思います。

花は咲く ただひたすらに
花の命を 美しく咲くために

ただひたすらに咲く花を見ていると,その直向きな姿に心を動かされます。そして,とろうとした手をそっとひっこめて通り過ぎます。花の姿と匂いを残して・・・・・・。

                                  中西 正一 先生


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